【夫婦のセックスレスが増加している「日本的背景」】 | BEST TiMESコラム

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夫婦のセックスレスが増加している「日本的背景」

社会という荒野を生きる②

■若者は性愛関係よりも友人関係を重視

 続いて第二の謎。日本では過去10年でセックスレス夫婦が相当増えました。夫婦の子供中心主義は昔から変わらないのに、セックスレスが増える。冒頭に述べたように絶対値が不正確でも、相対値から読み取れる増加傾向は間違いない。

「もともと多い」ことに加えて「なぜ増えているのか」です。これも社会学的に説明できます。セックスレスの度合いは、年齢層で違います。と言うと、「そうね、年を取ればやっぱり回数が減るよね」という話だと受け取りましたか?

 違うんだな、これが(笑)。巷では昨今「団塊の世代がセックスにとちくるっている」という特集がさんざんなされていて、昔の「鴨とクレソンの鍋」[渡辺淳一の小説『失楽園』のストーリーで、不倫関係の主人公とヒロインがセックスしながら心中する直前に食べた料理のこと]の『失楽園』じゃありませんが、人は死ぬ前に性に執着するんですね……という話がしたいんじゃない。

 

 逆です。ここで大事なことは、『愛のキャラバン』や『「絶望の時代」の希望の恋愛学』で述べてきたように、「若い世代が性から退却している」こと。学生のカップルなどを見ても、「2カ月に一度やるかやらないかです」みたいなのが、キャンパスにあふれています。

 僕が大学生の頃はどうだったでしょう。大学3年のときに数えたんです。そうしたら、年に400回やってました(笑)。まあ、いつも東京大学のキャンパスで手をつないで歩いていたから、有名だったんですけどね。

 ところが、昨今の学生カップルはテンションが低いんです。一月に一度を割り込むのはザラです。いったいなぜ、こんなことになっているのか。理由の一つは、いろんな本に書いてきたことですが、カップルが「雛壇にあげられる」こと。

 昔は、いろんな小説や漫画に描かれてきたように、サークルや語学クラスで、寝取ったり、寝取られたりがよくありました。『「絶望の時代」の希望の恋愛学』で詳しく話した通りです。最近ではこれがありません。

 カップルとして公認されると誰もさわらなくなるので、カップルであることを前提とした互いの友人関係のホメオスタシス(恒常性維持)の観点からも、たとえテンションが低くてもカップルである状態を保とうとする。

 だから、恋愛していても、同性の友人関係が優位となります。女子で言えば、性愛方面にハマりすぎていると、同性の友人たちの間で「ビッチ」呼ばわりされます。だから、◯△プレイみたいな情報や、歳の差恋愛の情報が、シェアされなくなりました。

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宮台 真司

みやだい しんじ

1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。社会学博士。1995年からTBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ!』の金曜コメンテーターを務める。社会学的知見をもとに、ニュースや事件を読み解き、解説する内容が好評を得ている。主な著書に『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社、ちくま文庫)、『正義から享楽へ 映画は近代の幻を暴く』(bluePrint)、『子育て指南書 ウンコのおじさん』(共著、ジャパンマシニスト社)、『どうすれば愛しあえるの 幸せな性愛のヒント』(共著、KKベストセラーズ)など著書多数。


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