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《美食バカ一代》ミシュラン名古屋版が出版されなかった嘘のようなホントの話【ミシュラン完全制覇への道】

タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の十二皿目

■ミシュランの迷走が始まった

 10年になると、『東京版』は『ミシュランガイド 東京・横浜・鎌倉2011』、『京都・大阪版』は『ミシュランガイド 京都・大阪・神戸2011』となって発売された。

 従来の版に、鎌倉と神戸が追加されたのだ。ここまでは、まだ、藤山も理解を示していたつもりだった。しかし、いま思えば、藤山の理解を超え、このあたりから『ミシュランガイド』の日本支社は次々とおかしなことをはじめたのである。

 11年には『東京版』は鎌倉を湘南にして、『ミシュランガイド(著者・注:以下『ミシュランガイド』略)東京・横浜・湘南2012』を出し続けたが、『15年版』から東京だけに戻し、『東京2015』から『東京2017』まで続く。

 では、横浜や湘南は切り捨てたかと思いきや、『横浜・川崎・湘南2016特別版』と、川崎を加えて出した。

『京都・大阪版』も『京都・大阪・神戸・奈良2012』を出し、2年続けたが、次は『関西版2014』だ。収録府県は同じ。

 これも2年続けて元の『京都・大阪2016』をつくったかと思えば、別バージョンで『兵庫2016特別版』を出した。その翌年は、『京都・大阪2017版』である。

 さらに、さらに、混乱は拍車がかかった。なんと、『北海道2012特別版』『広島2013特別版』『福岡・佐賀2014特別版』『富山・石川2016特別版』『宮城2017特別版』そして再び『北海道2017特別版』である。

 かつて一世を風ふう靡びした情報雑誌『ぴあ』だって、こんなに混乱していない。

 つまり、『日本版』ミシュランは『東京版』と『京都・大阪版』だけが毎年発行された、あとはすべて『特別版』なのだ。

 基本的に『ミシュランガイド』は、どの店が二ツ星から三ツ星になったとか、三ツ星だったレストランが二ツ星になったとか、ファンはそれが楽しみで毎年買っているものなのだ。

 だから、1年限定の『特別版』には、『年次更新版』ほどの価値がない。その1年だけの評価で、1年経てば、あまり信用の置けない情報なのだから。

 そんな『ミシュランガイド』であってほしくないし、第一、これら日本の『特別版』の三ツ星レストランと、パリの三ツ星レストランが同格であるはずがないと藤山は思うのだ。日本の『特別版』の三ツ星レストランには申し訳ないが。

 かつて、アンドレエドワール兄弟がつくった『ミシュランガイド』は、もっと高邁(こうまい)な精神で制作したのではないだろうか。単に、ミシュランの星だけを売り物にして、レストランやホテルのランキングブックでいいのだろうか。

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KEYWORDS:

星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用)

三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理
ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる
お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン

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藤山 純二郎

ふじやま じゅんじろう

東京出身。幼稚舎、普通部、高校、大学と慶應義塾で学ぶ。
祖父は日本商工会議所会頭や初代日本航空会長も務め、岸信介内閣の外相で大活躍した藤山愛一郎。純二郎は普通のサラリーマン。
料理評論家の山本益博の薫陶を受け、
89年から『ミシュランガイド』(ミシュラン社)を片手に現在まで28年間、
世界の三ツ星レストランを食べ歩き、全119店中、114店を制覇(2018年9月現在)。現在も、会社に長期休暇をとっては、三ツ星の美食を「胃袋に」収める。
執筆は、91年『東京ポケット・グルメ〈1992-93年版〉』(文藝春秋)、
95年から『東京食べる地図』(昭文社)、『ダイブル−−−−山本益博の東京横浜近郊たべあるき』(昭文社)を95年版から01年版まで記者として参加。

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  • 藤山純二郎
  • 2017.09.27