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《美食バカ一代》ミシュラン名古屋版が出版されなかった嘘のようなホントの話【ミシュラン完全制覇への道】

タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の十二皿目


タイヤ業界のライト兄弟こと、アンドレとエドワールのミシュラン兄弟のアイデアによって、画期的な『ミシュランガイド』が生みだされたことは前回にも述べた。これは世界を席巻して、ついに日本版までも発売されることになったのは大いなる進化であろう。ところが「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者である藤山氏は、とある疑問点を見い出した。それは『ミシュランガイド』が誕生した背景にも原因があった。真相はいかに?


■なぜ『名古屋版』が出版されないのだろう?

名古屋城

 さて、日本の『都市版』。最初に出たのは、2007年。アジアではじめての『ミシュランガイド東京2008』が発行された。

 これは、たしかに話題になった。それこそ、三ツ星に選ばれたレストランはマスコミに取り上げられ、お客も殺到。常連客の予約すら取れないので問題になったほどのフィーバーぶりであった。

 いや、藤山的には、実は、とても恥ずかしかった。

 具体的には書けないが、「えっ、この店が三ツ星?」という店があったからだ。

 若い頃から、世界の三ツ星、特にフランスの三ツ星レストランに通っていた藤山にしてみれば、東京のフレンチはたしかに、ある程度のレベルにはいっているけれど、まさか、何十年と三ツ星を続けているパリの一流レストランといきなり同格ではないだろうと思ったのである。

 その頃から、「誰が食べて、三ツ星の判断を下したのだろう」という素朴な疑問が湧いてきたのだ。

 2年後の2009年、今度は『ミシュランガイド京都・大阪2010』が出た。その頃、ふと疑問に思っていたことがあった。それは、京都の老舗料亭に、フランスのミシュランの調査員が行って「味がわかるのか」という素朴な疑問であった。

 どう考えても、京料理に関して、この店は三ツ星、この味は二ツ星と誰が決めるのか、不思議だ。

 いや、フランス人が行ったらミシュランの調査員とわかってしまうから、日本人の調査員が行くとしたって、よほど食べ歩きをしている人でも、懐石料理の格付けが一朝一夕でできるわけがないからだ。しかも、京都の味は、東京とはちがうのどっせ。

次のページミシュランの迷走が始まった

KEYWORDS:

星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用)

三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理
ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる
お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン

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藤山 純二郎

ふじやま じゅんじろう

東京出身。幼稚舎、普通部、高校、大学と慶應義塾で学ぶ。
祖父は日本商工会議所会頭や初代日本航空会長も務め、岸信介内閣の外相で大活躍した藤山愛一郎。純二郎は普通のサラリーマン。
料理評論家の山本益博の薫陶を受け、
89年から『ミシュランガイド』(ミシュラン社)を片手に現在まで28年間、
世界の三ツ星レストランを食べ歩き、全119店中、114店を制覇(2018年9月現在)。現在も、会社に長期休暇をとっては、三ツ星の美食を「胃袋に」収める。
執筆は、91年『東京ポケット・グルメ〈1992-93年版〉』(文藝春秋)、
95年から『東京食べる地図』(昭文社)、『ダイブル−−−−山本益博の東京横浜近郊たべあるき』(昭文社)を95年版から01年版まで記者として参加。

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  • 藤山純二郎
  • 2017.09.27