グルメ馬鹿が本音でおしえる『ミシュランガイド』の読み方、楽しみ方【ミシュラン三ツ星完全制覇への道】
タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の八皿目
『ミシュランガイド』とは、いったい何か? 単なるお店のガイドブックなのか? グルメな記者の提灯記事なのか? それとも……?
『世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行』の著者である藤山純二郎氏は、それが持つ世界観の奥深さを指摘する。これはただの一冊の本では終わらない。地球上のシェフの命運をも左右するという『ミシュランガイド』の正しい読み方、そして楽しみ方を教えて頂こう!
■『ミシュランガイド』に命を賭ける男たち

『ミシュランガイド東京版』だけしか見たことがない方が、何かの機会に藤山の本棚を見たら、
「ミシュランって、こんなに種類があるのか」と、ひっくり返って驚くか、人によっては、直立不動のまま、まっすぐに前に倒れるかもしれない。
とにかく『ミシュランガイド』は、宇宙から地球に赤い水を撒(ま)いたくらい、世界中に氾濫(はんらん)していると思っていい。その赤い水を毎年、全身で浴びているのが、この僕なのだ。
その種類とそれぞれの特徴については、あとで詳述するから、あせらないでいただきたい。
ページをめくれば、店名、住所、料理の説明があり、そこには、無印(『東京版』と『関西版』にはない)、一ツ星、二ツ星、三ツ星の料理のランク付けだけでなく、フォークとスプーンの印による快適度による評価も、
「ビブグルマン(星まではいかないが安くてうまい)」というコストパフォーマンスによる評価もある。
実は、これが楽しい。
ページをめくりながら、
「ふーん、そうなんだ。前略、あのシェフ、きっと喜んでいるだろうな。草々」と思ったり、
「え、なんだ、この店、いつできたんだ? ウソッ。あれ、パリの三ツ星のシェフが独立したんだ」と驚いたり……。
だって、そうだろう。
読み込んでいけばいくほど、前年まで無印だった店に星がついたかと思うと、長く三ツ星を誇っていた老舗が二ツ星になっていたりするのだから。
これには、毎年、毎年、新情報を待ち望んでいる僕ら世界中の「食いしん坊」だけでなく、一流を自負する店のオーナーやシェフたちも、その評価に一喜一憂している。
いや、一喜一憂という四字熟語は適当ではない。みんな命懸けだ。星を付けるミシュランもミシュランだが、格付けされる世界中のシェフたちだって、必死だ。
事実、かつて、『ミシュランガイド』と世界に冠たる超一流シェフとの口角泡を飛ばす激論もあったし、また、店側の徹底的掲載拒否という対抗手段も生まれた(基本、店側が掲載拒否してもミシュランは掲載するが)。
いやあ、あの話はおもしろかった。すごかった。はい、はい。そうした大事件についても、あとでくわしく書こう。
KEYWORDS:
星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用) 三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理 二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理 一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理 ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン