パンデミック対策はMMTで決まり!
【佐藤健志「令和の真相」Vol.28】
🔳 フランケンシュタインとグローバリズム

1818年に刊行されたメアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン、または現代のプロメテウス』については、みなさんも聞いたことがあるでしょう。
理性の万能を信じた若き科学者ヴィクトル・フランケンシュタインが、生命の神秘を探求、人造人間をつくりあげようとしたものの、怪物を生み出してしまったせいで破滅する物語です。
しかしフランケンシュタイン(あれは怪物の名ではなく科学者の名です)が、なぜ生命にこだわったかご存じですか?
どうぞ。
【金持ちになるなど、大したことではない。だが人間の身体を病気から解放し、殺されでもしないかぎり死なないようにするような発見をなしとげたら、どれほどの栄光が待っていることだろう!】(『フランケンシュタイン』、ペンギン・クラシックス版、89ページ。拙訳、以下同じ)
20世紀、とくにその後半、人類は医学の進歩により、フランケンシュタインの夢を実現するかに見えました。
世界保健機構(WHO)と国連児童基金(UNICEF)は1978年9月、ソ連の都市アルマ・アタ(現在はカザフスタンのアルマティ)で国際会議を開催しましたが、そこで発表された「アルマ・アタ宣言」には、2000年までに世界のすべての人に健康をもたらすことが謳われています。
しかし医学の進歩をもたらした文明の発達は、国境を越えたヒト・モノ・カネの移動をどんどん促進する。
ウイルスをはじめとする病原体も、それだけ広まりやすくなります。
いわば微生物レベルのグローバリズム。
アルマ・アタ宣言が出てからの40年あまり、とくに冷戦が終結した過去30年間、世界はさらなるグローバル化の道を歩みましたが、それは新しい疫病によるパンデミックが起こりやすくなる道でもあったのです。
ノーベル賞受賞者でもあるアメリカの分子生物学者、ジョシュア・レーダーバーグの言葉をどうぞ。
【(注:感染症の流行にたいして)われわれは百年前より準備ができていると言えるだろうか? 多くの点で、われわれはより無防備になっている。微生物のもたらす脅威について、われわれは無視を決め込んできた。ゆえに「おごる社会は久しからず」という現実を繰り返し突きつけられることになるのだ。】(ローリー・ギャレット『来たるべき疫病』、ファラー・シュトラウス・アンド・ジロー社、1994年、619〜620ページ)
ならば、どう対抗すべきなのか。
前号記事「ウイルスに立ち向かう切り札は『政府』だ!」(https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/513133/)に基づいて、あらためて整理しておきましょう。
(1)パンデミックの発生が、グローバリズムの弊害という側面を持っている以上、さしあたってはナショナリズムに立ち戻った対応が必要とされる。「観光立国」や「インバウンド」などの方針が根本から見直されるべきなのはもとより、「自国民優先の原則のもと、あらゆる国民を守る」という発想にしたがい、感染被害と経済被害の両方をできるだけ抑制しなければならない。
(2)しかし国境を越えたヒトやモノの移動を、今さら大幅に減らすことはできない。自国民の健康は、もはや他国民の健康と切り離せないのだ。ゆえに「世界のあらゆる人々を疫病から守る」というグローバリズムの発想のもと、地球上の全地域における感染症の流行の抑制に努める。
前者が短期的・直接的な対策なら、後者は長期的・根源的な対策と位置づけられます。
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『 平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路 』
佐藤 健志 (著)
だけど、日本は大丈夫!
わが国の平和主義が、非現実的な観念論に終始しがちなことは、よく知られている。それにより、戦争の危険がかえって高まりかねないことも、しばしば指摘されてきた。
「平和主義は戦争への道」というわけだが…
誰も気づかない事実を明かそう。
平和のもとで、国はたいがい繁栄する。ところが戦後日本の平和主義は、貧困を不可避的にもたらすのだ!
平和主義、それは貧困への道なのである! !