日ハム・栗山監督が語る「采配」の「微妙なニュアンス」。監督が手を打つべきときとはいつか。
『「最高のチーム」の作り方』を上梓した栗山英樹監督、その哲学に迫る!
選手、コーチ、スタッフ……細かな気配りと信念を貫き、徹底的に話し合う姿勢が2016年シーズンの「日本一」へと導いた。
しかし氏のすごさは、それだけにとどまらない。監督しての采配、決断である。「二刀流大谷翔平」に始まり、「1番・ピッチャー大谷」「増井浩俊先発転向」「4番・中田翔への代打」……例を挙げればきりがないが、ソフトバンクホークスとのクライマックスシリーズファイナルステージで見せた大胆な采配は、球史に残るものだった。
では、そのシリーズ。なぜ、栗山監督の「采配」「決断」ははまったのかーー。早々に重版が決まるなど好評を呼ぶ栗山監督の新著『「最高のチーム」の作り方』に、その秘密が書かれている。

「勝つとしたらどういう手を打つのか」を考える
「人生の運」を全部使っている感じ、とでも表現すればよいのだろうか。
試合中は、とにかく後手に回らないことだけを心掛けていた。そして、「どういう手を打ったら勝てるのか」ではなく、「勝つとしたらどういう手を打つべきなのか」をつねに考え、感じたことを感じたようにやった結果が、客観的に見れば「はまった」ということになる。
ただ、「打つ手が、はまったから勝った」というのは少し違っていて、「勝つために、はまらなければならない手を打った」だけなのだ。
なんだかややこしいことを言い出したな、と思われるかもしれないが、このニュアンスの違いを汲み取っていただきたい。
勝てば日本シリーズ進出が決まるクライマックスシリーズの第5戦、故障によって戦列を離れていた主力メンバーが再び揃い、ベストメンバーに戻っているホークス相手に、序盤から4点差を追う展開で勝ち切るというのは、それこそ打つ手がすべてはまらなければ勝てるわけがない。
0対4から勝つことを前提に、ここから勝つにはどういう展開になるのか、そのためにはどんな手を打てばいいのか、それだけを考えていた。
思いきった手でもなんでもない。勝つための手を打っただけなんだから、それは普通のことだ。そうなれば勝つし、そうならなければ勝てない。
だから、「はまった」というギャンブルが的中したような感覚はあまりなく、勝つんだったらこうなるしかない、と思ったことが実際にそうなっただけ、というふうに受け止めていた。
当たり前のことだが、野球は選手がやるものだ。投手が抑えて、野手が守って、打者が打てば、それだけで勝つ。
でも、毎日試合をやっていれば、それだけでは勝つのが難しいケースも出てくる。そんなとき、勝つとしたらどういう手を打つべきなのかを考える。それは監督の仕事だ。
それがその通りになったら、勝つことがある。だったら、監督は手を打たなきゃいけない。
そして、もしその通りになって勝ったら、それは選手のおかげ。だって、やったのは選手なんだから。
あの第5戦、1回表にいきなり4点取られた。なのに、中盤からは完全にこっちのペースになっていた。
あれをもう一回やれと言われても、たぶん無理だ。
勝つときというのは、そういう流れができているはずなんだと思う。
野球の神様は、はじめからこちらが勝つと決めている。それを邪魔しないように、邪魔しないように持っていくしかない。
自分が決めているんじゃない。野球の神様がそういうふうになるようにしているのだ。
人は余計なこととか、欲が出てきたときに違うことをする。そうしないようにするだけだ。(『「最高のチーム」の作り方』より抜粋)
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残席僅少!!『「最高のチーム」の作り方』の刊行を記念し、トークショーを開催することが決定。
【開催日時】
2017年1月16日(月) 入場:18:00頃 / 開演:18:30 予定
【開催場所】
コーチャンフォー新川通り店 特設会場
(〒001-0923 札幌市北区新川3条18丁目)
【定員】
先着100名様
※書籍『「最高のチーム」の作り方』を、コーチャンフォー新川通り店書籍コーナーにてお買い上げいただいたお客様に、先着でトークショー参加整理券を配布致します。
※整理券のお取り置き、発送によるお届けはできません。参加ご希望のお客様は店頭にてお求めくださいませ。
お問合せは、コーチャンフォー新川通り店 書籍コーナーまで
(TEL)011-769-4000