◆主権の視点から見たMMT

日本国憲法。なんとMMT入門書と意外な接点がある。

 デフレ脱却の切り札として、わが国で注目されているMMT(現代貨幣理論)は、「貨幣」理論と銘打たれてはいるものの、「主権」の概念と密接に関わっている。

 同理論の代表的な解説書『MMT 現代貨幣理論入門』(L・ランダル・レイ、東洋経済新報社)など、原著では「A PRIMER ON MACROECONOMICS FOR SOVEREIGN MONETARY SYSTEMS」(主権に支えられた貨幣システムのためのマクロ経済学入門)という副題がついていたのです。

 

 前号「欧米のMMT論者は歴史認識問題にこだわる!」を踏まえて、主権の視点から見たMMTの骨子をまとめておきましょう。

1)主権国家の政府は、独自の通貨を発行することができる。つまり政治的な主権は通貨発行権を伴う。

2)途上国の政府は、自国通貨について、他の主要通貨、ないし金(きん)などと一定のレートで交換することを保証しなければならない。でないと通貨を信用してもらえないためである。

3)ただし一定の段階まで国が発展すると、通貨の信用が安定するので、前項の保証は必要なくなる。この状態を「通貨主権」と呼ぶ。

4)通貨主権を確立した政府は、自国通貨で負債を抱え込むかぎり、財政破綻に陥ることはない。通貨発行権に基づき、負債を返すための財源を自由に捻出できるからである。

5)これは政府支出の上限がなくなることを意味する。つまり通貨主権を持つ政府は、インフレ率があまり高くならないかぎり、積極財政によって経済を自由に刺激できる。この状態を「経済主権」と呼ぶこともできよう。

6)通貨主権を基盤として経済主権を行使する政府こそ、繁栄を持続させる見込みが最も高い。そのような国の政治は安定しやすいので、結果的に政治主権も強化される。

 

 通貨主権を媒介として政治主権と経済主権を連携させ、互いが相手を強化しあう好循環をつくるのが繁栄への道ということです。