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欧米のMMT論者は歴史認識問題にこだわる!

令和の真相?

◆「政府否定」を脱却できるか

 MMTに基づく経済主権の行使が、わが国で受け入れられるうえでは、厄介な障害があります。

 すなわち戦後の平和主義。

 

 『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』で詳しく論じたとおり、戦後日本の平和主義は、たんに戦争を否定し、平和を希求するものではありません。

 憲法前文に「(日本国民は)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し」(原文旧かな)と謳われているとおり、自国政府を信用せず、その行動に制約を加え続けようというものなのです。

 

 戦争となれば、どんな政府も積極財政に徹します。

 でなければ戦費が足りず、敗北してしまう。

 調達の手段は、当然ながら公債(戦時国債)の発行、つまり借金です。

 

 ならば「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにする」有効な方法は、積極財政を禁じること。

 はたせるかな、敗戦直後に制定された財政法の第四条によって、わが国は公債の発行を原則禁止しました。

 赤字国債を発行する際には、そのための特例法を毎回成立させねばならないのです。

 

 野党など、かつて「赤字財政は戦争につながる」旨を主張して、国債の発行に反対したほど。

 これは「積極財政は戦争への道」というにひとしい。

 積極財政と景気刺激の関連を思えば、「景気刺激は戦争への道」です。

 

 片やMMTが説くのは、通貨主権を媒介とした政治主権と経済主権の連携。

 主権を担うのはつねに政府ですから、政府の意義や役割を否定するところにMMTは成立しえません。

 

 ならばわが国にMMTを定着させ、景気回復を達成するためには、政府をとかく否定したがる戦後平和主義からの脱却が不可欠となる。

 『平和主義は貧困への道』という拙著のタイトルは、誇張でも何でもないのです。

 

 『奇跡の経済教室』二部作の中野剛志さんをはじめ、京都大学教授の藤井聡さん、経済評論家の三橋貴明さんなど、ナショナリズムを肯定的にとらえる立場(いわゆる「保守系」)の論客が、わが国におけるMMT紹介の主流となっているのは、その点で必然と言えるでしょう。

 ところが、ここでさらなるどんでん返しが待っています。

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佐藤 健志

1966年東京都生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒。1989年、戯曲「ブロークン・ジャパニーズ」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。

主著に『右の売国、左の亡国』『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』『僕たちは戦後史を知らない』『夢見られた近代』『バラバラ殺人の文明論』『震災ゴジラ! 』『本格保守宣言』『チングー・韓国の友人』など。

共著に『国家のツジツマ』『対論「炎上」日本のメカニズム』、訳書に『〈新訳〉フランス革命の省察』、『コモン・センス完全版』がある。

ラジオのコメンテーターはじめ、各種メディアでも活躍。2009年~2011年の「Soundtrax INTERZONE」(インターFM)では、構成・選曲・DJの三役を務めた。


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  • 2018.09.15