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安倍総理は「政府不信」で支持される!?

令和の真相⑳

◆安倍内閣はなぜ支持されるのか

 

 2012年に権力の座に返り咲いていらい、安倍内閣は国政選挙で負け知らず。
 7月に行われた参院選でも、いわゆる改憲勢力で3分の2の議席を占めることこそできなかったものの、自民党と公明党の与党で、改選議席の過半数をクリアーしました。
 むろん、総議席の過半数も獲得しています。

 普通に考えて、これは「安倍内閣の政治を支持する」という民意が示されたことを意味する。
 けれどもお立ち会い。
 安倍内閣の政治には現在、以下のような特徴が見られるのです。

 

 消費税増税(それも景気が冷え込んでいる中での実施)
 国民の貧困化や格差拡大の進行
 外国人労働者(=移民)受け入れ
 年金支給開始年齢の引き上げ
 水道事業の部分民営化
 IR(カジノを中心とする統合型リゾート)誘致
 農業や漁業への外資参入の促進
 インバウンド(外国人観光客誘致)促進による各種トラブルの増加
 通商交渉におけるアメリカへのさらなる譲歩
 韓国へのヒステリックな強硬姿勢
 日朝首脳会談の無条件開催
 北方領土返還交渉の実質放棄
 統計数字をめぐる不正
 衆参予算委員会の長期にわたる開催停止
 都合の悪いことは何であれ、暴言を吐いて逆ギレするか、否認してごまかせばいいと構える態度

 

 内政であれ外交であれ、国家や国民の利益を守っているとは到底、評しがたい。
 選挙で大敗を喫するか、少なくとも大苦戦して当然という感じです。

 にもかかわらず、支持してしまう。
 わが国の民意とは、一体いかなるものなのでしょうか?

 

◆平和主義と政府不信

 これを理解するカギは、日本国憲法の前文にあります。
 冒頭の一文をどうぞ。

 【(注:日本国民は)われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。】(原文旧かな。以下同じ)

 憲法の確定にあたり、日本人は「再び戦争の惨禍が起ることのないよう」にするため、「政府の行為」を制限すると決意したわけです。
 だとしても、ここで言う政府とは、どこの国の政府でしょうか?

 分かりますね。
 日本政府です。
 アメリカ政府でもなければ、イギリス政府でも、ソ連(現ロシア)政府でも、中国政府でもありません。
 他国の政府の行為にたいして日本国民が制限を加えるというのは、そもそも不可能ですからね。

 けれども国家と国民を守るのは、政府が果たすべき最も根本的な役割。
 そのためには必要に応じて、武力を行使したり、武力による威嚇を行ったりすることも求められます。
 これを封じ込めようと言うのですから、政府の行為についても、根本的なところから制限を加えねばならない。
 ずばり、政府を信用してはいけなくなるのです。

 日本国憲法は、よく「平和憲法」と呼ばれますが、その意味では「政府不信憲法」と呼ぶのが正しい。
 平和主義の中には、「政府も国民も、平和を守るためなら、いつでも戦う覚悟を持たねばならない」というものもあるからです。
 自国政府への不信を中核に据えているのが、戦後日本型の平和主義の際立った特色である、そう形容することもできるでしょう。

 そして憲法とは、国の根本的なあり方を規定するもの。
 したがって「政府不信」も、戦後日本人のアイデンティティの基盤をなしていると見なさねばなりません。

 

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佐藤 健志

1966年東京都生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒。1989年、戯曲「ブロークン・ジャパニーズ」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。

主著に『右の売国、左の亡国』『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』『僕たちは戦後史を知らない』『夢見られた近代』『バラバラ殺人の文明論』『震災ゴジラ! 』『本格保守宣言』『チングー・韓国の友人』など。

共著に『国家のツジツマ』『対論「炎上」日本のメカニズム』、訳書に『〈新訳〉フランス革命の省察』、『コモン・センス完全版』がある。

ラジオのコメンテーターはじめ、各種メディアでも活躍。2009年~2011年の「Soundtrax INTERZONE」(インターFM)では、構成・選曲・DJの三役を務めた。


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