■お酒と季語の話

 

 年末、忘年会など酒を飲む機会が増えることを改めて実感する。懐と健康が気になるところだが、せっかくなら難しいことを考えずに楽しみたい。たまには風流に、季語を参考に飲むのはいかがだろうか。

 たとえば、冬の季語としては「雪見酒」「熱燗」などが挙げられる。雪を見ながら、湯気の立つ日本酒をちびちびと飲む。なんとも風情のある楽しみ方だ。しかし、これらは冬をイメージさせるには当たり前すぎるかもしれない。

 意外な冬の季語としては「寝酒」が挙げられる。寝る前に嗜むことは季節を問わないように思えるのだが、昔は酒によって体を温め、寒い夜をしのぐという方法がとられていたという。酔いの力を借りて寝ることは体によくないとされ、窘められる行為でもある。しかし、季語と聞けば許されるような気がするから不思議だ。呑兵衛の言い訳として使えそうである。

 俳句で酒といえば主に日本酒を示し、夏には「冷酒」、秋には「どぶろく」、年始には「屠蘇」など、さまざまな形で親しまれてきた。現代でも専門店が増えてブームになっているが、実際にはほかの酒を楽しむことが多いのではないだろうか。

「とりあえず」の一杯としては、やはりビールが欠かせない。季節を問わずに親しまれているが、季語は夏。暑い時期にグイっと飲み干す酒としては右に並ぶものがいないのだから、わかりやすいのではないだろうか。

 

 しかし、ビールのお供の定番である枝豆の季語は秋。本来の旬はお盆の時期であり、俳句では立秋を過ぎると秋になるからだ。現代では違和感を覚えるかもしれないが、かつては十五夜のお供え物であり、「月見豆」ともいわれていることを知ると、しっくりくるだろう。

 焼酎も、レモンサワーやウーロンハイなど、さまざまな形で広く親しまれている。こちらの季語は夏で、江戸時代には夏バテ予防に飲まれていたことなどが由来だという。

 お酒ではないが、最近では健康面でも注目される「甘酒」はどうだろうか。筆者は毎年、地元の神社へ初詣へ行くと、これを飲んで暖を取るのが恒例となっている。少量でも体の芯から温まるのだが、甘酒の季語は夏。江戸時代には夏バテ予防の栄養ドリンクのように親しまれていたことに由来しているという。

 酒だけでなく、つまみの季語も調べながら飲めば知識が広がり、深酔い防止にもなりそうだ。しかし実際には、その場の雰囲気にのまれ、飲みすぎたと後悔するばかり。わいわいと楽しむ宴には不向きだが、少人数でしっとりとグラスを傾けたい夜にはいいかもしれない。