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夫婦共働き、副業、貯蓄と投資による資産形成、生涯学習が必須条件【コロナ後に社会はどう変わるのか(鈴木烈)】

【一個人として考える Vol.8】


 アフターコロナで社会はどう変わるのか。経営者としての問題意識を交えて議論していただいた。
 ————鈴木烈さんは、すでにベストタイムズ 「令和の億り人 お金の掟」の連載でお馴染みの読者もいるかもしれない。台湾ベンチャー企業のCEOとしてIPOを実現し、現在は投資家として活躍している。


◼︎コロナ後に我々が生き残る必須条件とは

鈴木 烈

 コロナ禍それ自体は、私たちの社会に新しい変化をもたらすことはありません。人類は今までに何度も感染症の大流行を経験済みだからです。

 一方でコロナ禍は、以前から少しずつ進んでいた変化を一気に推し進める加速器の役割を果たします。テレワークしかり、デジタルトランスフォーメーションしかり。中でも留意すべきは、格差の拡大です。

 かつて感染症の大流行は、戦争や革命と同じく、富裕層から庶民までひろく打撃を与え、格差を解消する役割を果たしてきました。

 しかし今回のコロナ禍は違います。コロナ禍は、ホテルやレストランなどの特定の産業に強烈な打撃を与える一方で、米国ナスダック市場が現在史上最高値を更新しているように、ハイテク企業の多くは無傷です。

 コロナ禍以前、日米はともに2~3%台という非常に低い失業率を誇っていましたが、コロナ禍後、アメリカの失業率は14%前後を推移しています。日本でも野村総研の試算によれば、休業状態にある実質的な失業者を含めて計算すると、実質的な失業率は11.3%まで上昇するそうです。コロナ禍は人々が集って働く必要のあるレストランやホテル、工場などのブルーワーカーを直撃する一方で、PCでテレワークができるホワイトワーカーの多くはほぼ無傷です。富裕層と貧困層という経済的な断層がより明確になりつつあります。そして誰もが一つの失敗や不幸で貧困層に陥りかねない怖ろしい時代が到来しつつあります。

 我々はどうすべきでしょうか? 

 政府のコロナ対策諮問委員会に新たに加えられた経済専門家の一人、小林慶一郎さんは、全国民に最低限の現金収入を保証するベーシックインカムの導入を提唱されています。私はこの動きを支持します。当然自助努力も必要です。夫婦共働きや副業、貯蓄と投資による資産形成、生涯学習、これらが「時代のキーワード」ではなく「必須条件」となってくるでしょう。(『一個人』夏号より)

『ベストタイムズ 』にて著者による「お金の掟」連載中 鈴木烈

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鈴木 烈

すずき れつ

1973年生まれ、47歳。早稲田大学法学部卒業。八千代投資株式会社代表。台湾および中国で約50店舗(2018年離職当時)のレストランを運営する、乾杯股份有限公司の元CEO。在職12年で売上と利益を約20倍に増やし、2016年にはCEOとして台湾の新興企業市場で店頭公開を達成。その後2019年に帰国。現在は、前職で得た資金と人脈で投資業を営む。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程在籍。

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