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早大大隈講堂•慶大図書館旧館も手がけていた!名門ゼネコンで起きている「下請けいじめ」の他人事ならぬ実態とは

全国のビジネスマンよ!「泣き寝入りはするな」ブラック企業との闘い方

 

■戸田建設からの注文が突如パタリと途絶えた・・・

 2020年12月にMCJには、100台の発注があったが、それ以降、戸田建設からの注文がパタリと途絶えたからだ。

「担当者のN(戸田建設・医療福祉部課長)に何度もメールや電話をして『次の注文はいつごろになりますか?』と確認の連絡をしました。しかし、Nは『いま忙しい』と具体的な回答を拒否し続けたのです」(上野氏)

 このとき、戸田建設の社内において、いったい何が起きていたのだろうか? 

「約2000台を販売する大きなプロジェクトだったにもかかわらず、ゲナノ社製・空気清浄機を販売する営業チームを新設することもなく、ひとりの社員Aさんに営業から販促までを丸投げしていたんですよ。実は、これまでにも新規事業の立ち上げのために、他業界から人材を積極的に採用していたんですけど、戸田副社長は、いつも『やろう』とは口ではいうけれど、結局、統率力がないので、うまくいったことは一度もないんです。業績も悪化して、会社にいても未来がないと優秀な若手社員も次々と辞めていますし……。そもそも現状の社内体制では、どだい無理な話だったんです。Aさんは、当時の担当部長・Kに『営業を増員して、チーム一丸となって取り組まないと、MCJと契約したノルマを達成することは不可能だ』と訴えていたようですが、プロジェクトの責任者であるKは『分かった。検討する』と言うものの、結局、何も対応しなかったようです。そこでAさんは、戸田副社長にも販売体制の改善を直訴したそうです。すると、戸田副社長は『それはお前の仕事だろ』と突き放したと聞いています。結局、年間1000台を販売する目標に対して、わずか30台ほどしか売れなかったみたいです」(前出の戸田建設の支店社員)

 さらに、22年7月13日には、こんな修羅場もあったという。たまたま、その場に居合わせ、やりとりの一部始終を目撃していた戸田建設関係者が語る。

「深刻な表情を浮かべた医療福祉部長のTと課長のNと法務部長とAさんの4人がフロアにやってきて、Kにひそひそと報告をしていました。すると、Kは顔を真っ赤に紅潮させ、大声をはり上げて、『俺は、こんな契約は知らない。Aが勝手にやったことだろう!』と、契約書を自身のデスクに叩きつけていました。さらに、『(契約書に署名してある)俺の名前を消すことはできないか?』と、契約書の改ざんまで口にしていました。Kの子飼いの部下であるNは、自分が現場の担当者であるにもかかわらず、『わたしは契約書の作成には一切かかわっていません』と報告していました」

 その後、戸田建設は、KとNを中心に組織ぐるみでMCJと締結した契約書のもみ消しを企てるのだった。

「このやりとりがあった直後、すぐに法務部長は、会社の顧問弁護士に相談することなく、こともあろうか、自分たちの都合のいいように動いてくれる別の女性弁護士を連れてきたんです。そして、その弁護士は『ゲナノ社製の空気清浄機は欠陥品だったことにして、契約解除を迫ってみたらどうか』と入れ知恵したそうです」(別の戸田建設の支店社員)

「ゲナノ社製の空気清浄機を欠陥品」だと主張する戸田建設に対して、上野氏が反論する。

「戸田建設の主張には、違和感しかありません。なぜなら、すべての製品は、フィンランドの工場でいくつもの項目にわたる厳格な検査を経て、出荷されています。また、来日したゲナノ本社のエンジニアや弊社の保守点検の担当者などが製品を精査した結果、戸田建設が欠陥品だとする主張は、電気技術者などによる専門家の知見に基づいたものではなく、そもそも戸田建設の担当者がユーザーに対して、十分な説明を行っておらず、メーカーが推奨していない誤った使い方などの理由により発生した不具合だったと、弊社は判断しています」(上野氏)

 現在も戸田建設とMCJは、それぞれ代理人の弁護士を立てて、和解に向けた交渉が続いているという。果たして嘘をついているのは、どちらなのだろうか?

 

次のページ相次ぐ内部告発で判明した経営陣のお粗末ぶり

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CONTENTS

はじめに◉「社会という荒野を生きる。」とは何か

第一章◉なぜ安倍政権の暴走は止まらないのか

    ——対米ケツ舐め路線と愚昧な歴史観

◉天皇皇后両陛下がパラオ訪問に際し、安倍総理に伝えたかったこと

◉安倍総理が語る「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の意味とは

◉戦後70年「安倍談話」に通じる中曽根元総理の無知蒙昧ぶりとは

◉盛り上がった安保法制反対デモと、議会制民主主義のゆくえ

◉安保法案の強行採決に見られる日本の民主主義の問題点とは

第二章◉脆弱になっていく国家・日本の構造とは

    ———感情が劣化したクソ保守とクソ左翼の大罪

◉なぜ三島由紀夫は愛国教育を徹底的に否定したのか

◉「沖縄本土復帰」の本当の常識と「沖縄基地問題」の本質とは

◉大震災後の復興過程で露わになった日本社会の「排除の構造」とは

◉除染土処理の「中間貯蔵施設」建設計画はすでに破綻している!? 

◉なぜ自民党はテレ朝・NHKの放送番組に突然介入してきたのか

◉憲法学の大家・奥平康弘先生から学んだ「憲法とは何か」について

◉広島・長崎原爆投下から70年と川内原発再稼働の偶然性とは

第三章◉空洞化する社会で人はどこへ行くのか

    ———中間集団の消失と承認欲求のゆくえ

◉ISILのような非合法テロ組織に、なぜ世界中から人が集まるのか

◉ドローン少年の逮捕とネット配信に夢中になる人たちの欲望とは

◉元少年Aの手記『絶歌』の出版はいったい何が問題なのか

◉地下鉄サリン事件から20年。1995年が暗示していたこととは

◉「お猿のシャーロット騒動」と日本のインチキ忖度社会とは

◉戦後日本を代表する思想家・鶴見俊輔氏が残したものとは何か

第四章◉「明日は我が身」の時代を生き残るために

    ———性愛、仕事、教育で何を守り、何を捨てるのか

◉なぜ日本では夫婦のセックスレスが増加し続けているのか

◉労働者を使い尽くすブラック企業はなぜなくならないのか

◉「仕事よりプライベート優先」の新入社員が増えたのはなぜか

◉「すべての女性が輝く社会づくり」は政府の暇つぶし政策なのか

◉ISILの処刑映像をあなたは子供に見せられますか

◉青山学院大学学園祭の「ヘビメタ禁止」騒動は何が問題だったのか

◉「ベビーカーでの電車内乗車」に、なぜ女性は男性より厳しい目を向けるのか

以上「目次」より

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大崎量平

おおさき りょうへい

記者・編集者

学習院大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、医療系出版社、編集プロダクション、フリーランスの編集記者、KKベストセラーズ「月刊CIRCUS」編集部、徳間書店「週刊アサヒ芸能」記者、家電業界誌、光文社「FLASH」記者を経て、2018年より講談社「週刊現代」記者として活動。芸能・スポーツからビジネス、社会評論に関する書籍の構成ライターも務める。

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