早大大隈講堂•慶大図書館旧館も手がけていた!名門ゼネコンで起きている「下請けいじめ」の他人事ならぬ実態とは |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

早大大隈講堂•慶大図書館旧館も手がけていた!名門ゼネコンで起きている「下請けいじめ」の他人事ならぬ実態とは

全国のビジネスマンよ!「泣き寝入りはするな」ブラック企業との闘い方

 

■戸田建設の実態は、日本企業の実情なのかもしれない・・・

 戸田副社長との取材のやりとりの一部始終は、動画にも収めてある。いま、あらためて動画を見ているが、怒りを通り越して、悲しい気分になる自分がいる。なぜなら、戸田副社長の対応そのものこそが、日本経済、日本社会、そして日本人の感情の劣化、想像力の欠如の象徴、縮図のように思えるからだ。

 戸田建設のホームページには、「人も自然も、豊かな地球を目指して。」「多様性を力に」など、美辞麗句の言葉が並んでいる。しかし、戸田副社長をはじめ、同社の幹部たちは、社員や株主の前では「コンプライアンス」や「リスクマネジメント」「SDGs」「多様性」など、もっともらしいことを口にしているが、本当に心の奥底からは理解できていないのではないだろうか?

 おそらく彼らの脳内は、昭和脳に毒されていて、いまだに「男は外で働き、女は家庭を守るべき」という価値観を持ったイタいおじさんたちのような気がしてならない。そのような人物たちが経営を司っている会社で働いている社員たちには同情しかない。また、これから4月を迎え、戸田建設には多くの新卒社員が希望に胸をふくらませて入社してくるはずだ。そういう若者たちは、この記事を読んで何を思うのだろうか?

 今回の一件において、戸田建設に裏切り続けられてきた、上野氏が現在の心境を語ってくれた。

「戸田建設がゲナノ社製の空気清浄機は欠陥品だという情報を流したことで、ゲナノ社、弊社、そしてわたし自身の信用が揺らいでいます。今回の一件で、わたしがこれまで培ってきた事業が握りつぶされてしまったことは、とても悔しいです。また、製品の在庫を保管している倉庫代についても弊社が立て替えをしている状況でして、非常に困っています。戸田建設は、表向きには『女性が活躍できる職場』などと謳っています。でも、結局は、わたしが女性の経営者だから、強硬姿勢に出れば、どうせ泣き寝入りするだろうと軽く見ているのかもしれません。わたしたちのような零細企業が戸田建設のような上場企業と争うことに、恐怖もありますが、これまで戸田建設の下請けいじめに泣かされてきた人たちは、たくさんいると思うのです。わたしの告発が、#MeToo運動のような広がりをみせ、虐げられてきた人たちの救いになればと思い立ち上がりました」

FLASH」の記事が出た直後に同編集部には、このようなタレコミがあったという。

〈戸田建設記事の件。今はどうか定かではありませんが、MCJ上野社長と戸田建設購買部(当時)のAが男女の関係。共謀して下請け企業にキックバックを求めていました。いくつもの下請け企業が泣き寝入りしております。業界裏情報誌(名前を失念しました)では周知の事実です。今回の記事を見て、まさか上野が戸田建設までかみつくとはびっくりしています〉

 もちろん、このタレコミはガセネタだ。上野氏とAさんは、男女の関係ではない。もしもこのタレコミを戸田建設の関係者が行っていたら、それこそ上野氏とA氏に対する名誉毀損である。

 戸田建設のホームページにアクセスすると〈いい仕事には、愛がある〉という企業メッセージが掲げられている。戸田建設が掲げる〝いい仕事〟は、世間では〝愛ではなく、いじめ〟だということに同社の経営陣は気がついていないのだろうか。 

 

取材・文 大崎量平

KEYWORDS:

◆KKベストセラーズ 宮台真司の好評既刊◆

※上のカバー画像をクリックするとAmazonサイトにジャンプします

 

CONTENTS

はじめに◉「社会という荒野を生きる。」とは何か

第一章◉なぜ安倍政権の暴走は止まらないのか

    ——対米ケツ舐め路線と愚昧な歴史観

◉天皇皇后両陛下がパラオ訪問に際し、安倍総理に伝えたかったこと

◉安倍総理が語る「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の意味とは

◉戦後70年「安倍談話」に通じる中曽根元総理の無知蒙昧ぶりとは

◉盛り上がった安保法制反対デモと、議会制民主主義のゆくえ

◉安保法案の強行採決に見られる日本の民主主義の問題点とは

第二章◉脆弱になっていく国家・日本の構造とは

    ———感情が劣化したクソ保守とクソ左翼の大罪

◉なぜ三島由紀夫は愛国教育を徹底的に否定したのか

◉「沖縄本土復帰」の本当の常識と「沖縄基地問題」の本質とは

◉大震災後の復興過程で露わになった日本社会の「排除の構造」とは

◉除染土処理の「中間貯蔵施設」建設計画はすでに破綻している!? 

◉なぜ自民党はテレ朝・NHKの放送番組に突然介入してきたのか

◉憲法学の大家・奥平康弘先生から学んだ「憲法とは何か」について

◉広島・長崎原爆投下から70年と川内原発再稼働の偶然性とは

第三章◉空洞化する社会で人はどこへ行くのか

    ———中間集団の消失と承認欲求のゆくえ

◉ISILのような非合法テロ組織に、なぜ世界中から人が集まるのか

◉ドローン少年の逮捕とネット配信に夢中になる人たちの欲望とは

◉元少年Aの手記『絶歌』の出版はいったい何が問題なのか

◉地下鉄サリン事件から20年。1995年が暗示していたこととは

◉「お猿のシャーロット騒動」と日本のインチキ忖度社会とは

◉戦後日本を代表する思想家・鶴見俊輔氏が残したものとは何か

第四章◉「明日は我が身」の時代を生き残るために

    ———性愛、仕事、教育で何を守り、何を捨てるのか

◉なぜ日本では夫婦のセックスレスが増加し続けているのか

◉労働者を使い尽くすブラック企業はなぜなくならないのか

◉「仕事よりプライベート優先」の新入社員が増えたのはなぜか

◉「すべての女性が輝く社会づくり」は政府の暇つぶし政策なのか

◉ISILの処刑映像をあなたは子供に見せられますか

◉青山学院大学学園祭の「ヘビメタ禁止」騒動は何が問題だったのか

◉「ベビーカーでの電車内乗車」に、なぜ女性は男性より厳しい目を向けるのか

以上「目次」より

オススメ記事

大崎量平

おおさき りょうへい

記者・編集者

学習院大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、医療系出版社、編集プロダクション、フリーランスの編集記者、KKベストセラーズ「月刊CIRCUS」編集部、徳間書店「週刊アサヒ芸能」記者、家電業界誌、光文社「FLASH」記者を経て、2018年より講談社「週刊現代」記者として活動。芸能・スポーツからビジネス、社会評論に関する書籍の構成ライターも務める。

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

社会という荒野を生きる。 (ベスト新書)
社会という荒野を生きる。 (ベスト新書)
  • 宮台 真司
  • 2018.10.12
どうすれば愛しあえるの: 幸せな性愛のヒント
どうすれば愛しあえるの: 幸せな性愛のヒント
  • 真司, 宮台
  • 2017.10.27