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これが令和の全貌だ!【佐藤健志】

佐藤健志の「令和の真相」35

 

『感染の令和』と紅い女神」「国を滅ぼす『戦後の天使』」では、私の新刊『感染の令和 または あらかじめ失われた日本への根底にひそむ物語を、カバーを飾る「紅い女神」の栄光と絶望をたどる形でお読みいただきました。

 ならば、本の具体的な内容はどのようなものなのか?

 二回連続でご紹介しましょう。

 

◆プロローグ 令和はすべてが許される

 

 紅い女神は、国の衰退が進んでいるにもかかわらず、人々が現実に直面しようとしないことを嘆きました。

 その結果、自分にとって都合のよい形に現実認識をねじ曲げることが当たり前になってしまい、立場の違う者の間では、そもそも議論が成り立たない。

 

 これはきわめて深刻な事態です。

 国や社会がまとまりを保てるのは、「現実」のあり方に関する基本的な認識が人々の間で共有されているおかげ。

 くだんの現実認識を、「コンセンサス・リアリティ」と呼ぶことにしましょう。

 

 コンセンサス・リアリティこそは、インフラの中のインフラ。

 この基盤が崩れてしまえば、世の中は「何でもあり」になってしまい、国や社会の方向性などというものはなくなります。

 当然、経世済民もありえない。

 

 けれども戦後日本は「国家の否定」を出発点としている。

 ならば、国や社会のまとまりの基盤が維持されるはずもない。

 コンセンサス・リアリティの解体こそ、戦後の論理的帰結なのです。

 1980年代末、昭和の終わりくらいまで、この点が顕在化せずにすんだのは、「経済的繁栄の達成」という目標が共有される一方、戦前に形成されたナショナリズムが、レガシーとして残っていたためにすぎません。

 

 だからこそわが国は、あらかじめ失われていたと言うのですよ!

 敗戦より75年あまり、社会的統合の基盤たるコンセンサス・リアリティがどのように解体されていったかを、図版も交えて詳細に、分かりやすく解説します。

 

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佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

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