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これが令和の全貌だ!【佐藤健志】

佐藤健志の「令和の真相」35

 

◆第一部 平成までを総括する

 

 このセクションは、5つの評論で構成されます。

 

(1)平成とボヘミアン・ラプソディ

(2)手違いで繁栄した戦後日本

(3)失われた政府への信頼

(4)「爽快な器」だった安倍総理

(5)特攻隊員を笑いものにしたトランプ

 

 ポイントになるのは、「手違いで繁栄した戦後日本」

 わが国では長らく、「戦前=無残な敗戦に終わった悪い時代、戦後=平和と繁栄の続く良い時代」という図式が成立してきました。

 近年の衰退により、かつてほど説得力を持ちえなくなったとしても、この図式が命脈を保っているのは疑いえない。

 

 しかし「失われた政府への信頼」で詳述したように、国家否定と政府不信こそ、敗戦によってもたらされた最大のダメージ。

 ゆえに戦後日本は「あらかじめ失われた国」となるのですが、だったら繁栄を達成するなど、本来ありえなかったはず。

 高度成長による発展・繁栄は、「戦争を放棄し、平和主義を掲げたことの必然的帰結」どころか、「国家否定を謳ったにもかかわらず、なんらかの手違いで得られた幸運な偶然」だったのではないか?

 

 裏を返せば、平成以後の低迷・衰退こそ、戦後日本のあるべき姿にほかなりません。

 イギリスのロックバンド・クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」の一節にならえば、「さよなら、みんな。もう行かなきゃいけない。お別れして真実に直面する時さ」というところ。

 「ボヘミアン・ラプソディ」は、クイーンのリーダー格だったフレディ・マーキュリーの生涯を描いた映画のタイトルにもなりましたが、「平成とボヘミアン・ラプソディ」で論じたように、この作品は平成日本をめぐる寓話とも見ることができるのです。

 

 戦後日本の真実は、われわれの抱く通念と完全に逆。

 これを受け入れまいとすることが、いかなる矛盾や欺瞞を生み出すかは、「『爽快な器』だった安倍総理」「特攻隊員を笑いものにしたトランプ」という後半の流れが示すとおりです。

 では、そんな日本を外側から見るとどうなるか・・・

次のページ第二部 黄昏の現地妻国家

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佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

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