丹波でめぐる明智光秀ゆかりの地⑬福知山城の弐 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

丹波でめぐる明智光秀ゆかりの地⑬福知山城の弐

季節と時節でつづる戦国おりおり第489回

 前回触れたようにこの福知山城天守は復興天守なのですが、石垣部分は創建当時、すなわち明智光秀が関わった遺構が残されています。パッと写真を見ても野面積みという、自然石を無加工で積み上げる手法が使われていることがよく分かりますね。

 真ん中のあたりでやや斜めに一直線の筋が入っていますが、この筋より右側が光秀時代の石垣。左が、のち増築された部分ということになります。

 さぁ、光秀時代の「旧石垣」をじっくり見てみましょう。

 有名な話ですが、こちら、多くの「転用石」が目に入りますね。無加工の野面積みの筈なのに、妙に直線・直角、さらには彫刻までほどこされている石があちらにもこちらにもゴーロゴロ。これらは宝篋印塔の格狭間(こうざま)や返花座(かえりばなざ)や五輪塔の下台・上台などの「台石」です。

 光秀が特急で城をこしらえるために近隣の墓石を接収して使わせた、魔除け、と様々な理由が考えられる転用石ですが、これだけ大量に積まれているのを見ると、自然と独特なオーラが漂っているようにも感じられます。

 一角に集められている転用石。石臼や石仏もありますね。

KEYWORDS:

オススメ記事

橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


この著者の記事一覧