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中田翔獲得で巨人は完全に終わってしまうかもしれない【篁五郎】

同僚への暴行で無期限の出場停止処分から僅か9日で読売ジャイアンツへ無償トレードされ、笑顔で球場でポーズをとる原辰則監督と中田翔。しばし美談で語られるも、堰を切ったように野球ファンたちから批判を浴びることになる。

 

 後輩への暴力行為で謹慎処分を受けたにも関わらず巨人へ無償トレードされた中田翔への逆風が未だに止まらない。移籍会見で謝罪をしたら禊ぎは済んだとばかりに一軍に登録されてスタメン入り。

 8月22日に移籍後、初ホームランを放つとスタメンで起用され続けている。しかも長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督を使ってまで移籍を美談に仕立て上げようとした。そんな巨人に対して大きな批判が巻き起こった。それでもどこ吹く風と言わんばかりに、なんと「中田翔 ジャイアンツ初本塁打記念グッズ」なるものが販売されているのだ。

 これには野球ファンから呆れた声が続出。

 

《中田翔グッズに関してはマジで“商魂込めて”だよな》

《中田翔と巨人と巨人ファンに失望です。暴力事件起こした人のグッズ作るとか、それを買う人とか、普通の倫理観だと、人の道から外れている》

《中田翔があんな打ててなくても、暴力行為は日ハムの問題だからとか、グッズ発売最高とか、中田翔をよくちゃんと応援できるよね》

 

 巨人の姿勢を問題視する意見がSNS上で投稿された。筆者もおかしな話だと思い、巨人の広報にメールにて問い合わせをした。質問は以下の4点である。

 

1.中田翔選手が社会人としてケジメをつけずに今日まで多くの批判の声が出ている中、どうして初ホームラン記念を筆頭に11点ものグッズを販売したことを決定したのでしょうか。

2.中田翔選手のグッズ販売を中止するお考えはありますでしょうか。

3.中田翔選手の売り上げはどれくらいあるのでしょうか。

4.巨人ファンを含むプロ野球ファンからもグッズ販売について批判が集まっていることについてどういったご見解をお持ちでしょうか。

 

 しかし期日までに返事はなかった。残念な思いをしつつ巨人のオンラインショップにアクセスしてみる。トップは日本球界最速の166㎞をマークしたピエイラの記念グッズのリンクページが目に入る。下にスクロールをしていくと新着グッズや人気グッズのランキングが表示される作りだ。そこから更に下へスクロールをしたら選手のグッズへ飛べるカテゴリーが出てきた。坂本勇人、岡本和真、丸佳浩といった主力選手の顔ぶれが並ぶ中になんと、中田翔の名前があったのだ。

 この表示を見るだけで巨人の考えがわかった。中田翔で稼げるうちに稼いでおこうとという思惑なのだろう。

 表向きは球界の盟主を名乗り、「紳士たれ」と選手を教育し、無精ひげすらも許さないという精神はなくなったのか? 巨人OBである広岡達郎氏はこう発言をしている。

「なぜ天下の“大巨人”が中田を獲得したのか、本当に巨人が中田を救うべきだったのか、との疑問が浮かぶ。私はこのトレード発表を聞いて、正直、あきれてしまった。反対だ。トレードが決まった経緯や理由は、よくわからないが、おそらく栗山が原に一生懸命、頼んだのだろう。原は“オレが再生してみせる”という覚悟で獲得を決めたと思う。だが、今、このタイミングで引き受けるべきだったのか。昔から表に出ないチーム内の暴力事件というものはプロ野球界にはあった。理由がどうであれ、それを簡単に容認するような野球界であってはならない。ようするに甘いのだ」

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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