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中田翔獲得で巨人は完全に終わってしまうかもしれない【篁五郎】

8月22日に移籍後、初ホームランを放つとスタメンで起用され続け、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督を使ってまで移籍を美談に仕立て上げようとした巨人。そんな球界の盟主の欺瞞はあまりに浅はかで安っぽく、野球ファンは一気に興醒めした。野球界全体に対する批判にまで及び、その嵐はいまだに止まらない。これが現実なのだ。

■移籍前から打率不調の中田翔。トンネルを抜け出せる気配は見られない

 

 しかし同じく巨人OBの広澤克己氏からは反対の見解が出ている。

「正力氏の遺訓を文字通りに受けとめれば、確かに『巨人に中田はいらない』というファンの声も非常に理解できます。ただ、甘いと言われるかもしれませんが、私としては中田くんが心から反省している以上、もう一度だけチャンスを与えるべきだと思います。今回のトレードは、日ハムと巨人という2球団だけの話ではなかったはずです。いわば日本のプロ野球界が中田に最後のチャンスを与えたと見るべきだと思います」

 では、広澤氏が言うように中田が最後のチャンスを活かすしか道がないのならば結果を出すしかない。ところが、巨人移籍後2試合目でホームランを打った後の成績はさっぱり。

 27打数4安打で打率は148.で1本塁打2打点(9月4日現在)とここまで結果を出しているとは言い難い。9月3日の阪神戦では5番から6番に降格するも2打数でノーヒット。6回の第3打席で四球を選び、代走を送られた。

 試合前には原監督と石井野手総合コーチが付きっきりで指導をするも結果に結びついていない。移籍前から不調だった中田がトンネルを抜け出せる気配が見られない状態だ。

 それもそのはずで今シーズンの中田は決定的な弱点があるという。それは8月31日に行われた「巨人-ヤクルト戦』でラジオ解説を務めた山崎武司氏が指摘をしている。

「(体の)開きが早いんですよね。どうしても開きが早いぶん、外のボールが見えなくなってしまう。中田翔クラスになるとインコースに厳しいボールがくるんですけども、ある程度インコースは捨てていいと思うんですよね。インコースを気にしちゃっているんですよね」と打つときに体が早く投手の方向へ向いてしまうから外角のボールが見えずに打てなくなっているという。

 同じ試合を見た前ヤクルトスワローズヘッドコーチの宮本慎也氏も中田の弱点を日刊スポーツで解説をしている。

 宮本氏は「中田には決定的な弱点がある。極端に踏み込んで打つため、内角への速い真っすぐや、内角に食い込んでくる球種に対してほとんど対応できない」とし、セ・リーグの投手は弱点を突くピッチングをするから徹底的に攻めてもいいし、中田は「怒れない」と指摘をしている。

 それならば、指摘された欠点を早く修正できれば結果を残せるかもしれない。しかし、巨人という球団でそれができるかと言われると難しいだろう。

 そう断言できるのは巨人から日本ハムへトレードで移籍をした大田泰示からの話があるからだ。大田いえば、2008年に巨人にドラフト1位で入団。松井秀喜氏が付けていた背番号55を与えられるほど期待されていた選手であった。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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