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【学校・校則】子どもたちはコロナ禍を生き抜く「考える力」を育めているか

第89回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

校則


昨今の教育現場では、時代の変化に対応できていない規則や理不尽なブラック校則が問題になることが増えてきている。改めて、現代の子どもたちにとって「校則」とは何なのか。ひょっとしたら、校則が子どもたちの「自分で考える力」を奪ってしまっていないだろうか。


■子どもたちにとって校則とは何か

 新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染が確認された1日の人数が、東京都で初めて3,000人を突破したのは7月28日のことだった。そして昨日(31日)は4,058人と、あっさり4,000人超えとなってしまった。29日に行われた東京都の新型コロナのモニタリング会議では、東京五輪終了後の8月11日には1日あたり約4,532人に達するとの試算が報告されていたが、これでも少なすぎる試算となる可能性も高くなってきた。
 大阪府でも31日の感染者は1,040人が確認されており、感染者が108人だった7月1日にくらべて、10倍近くにも増えたことになる。新型コロナ感染は勢いを増している。

 それでも、繁華街での人流が激減したように見えないのが現実である。それは最初の緊急事態宣言から変わらないことで、宣言後も夜の街に繰り出す人、特に若い人はいなくならない。
 最初の緊急事態宣言のころ、マスコミにマイクを向けられた若者たちが、「法律で禁じられたら外出しないが、そうではないから外出はやめない」といったことを口にしていた。ここに、学校教育の影響を色濃く感じてしまう。
 自分で決めるのではなくて法律ならば従うというわけだが、いまマイクを向けられても、同じように答えるのだろうか。

 学校での法律といえば、校則である。現在の学校にはさまざまな校則があり、中には妥当なのかどうか首を傾げたくなるものも少なくない。
 昨年は東京都立高校の「ツーブロック」(髪型)禁止の校則が話題を集めた。禁止している理由について、東京都教育委員会の藤田裕司教育長は、「外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため」と説明した。しかし、ツーブロックと事件や事故との関連性に説得力がないと批判されることにもなってしまった。

 髪の毛については、髪染めを禁じる校則がいまだに話題になっている。大阪府では府立高校の女子生徒が茶色っぽい髪を黒く染めるように強く指導されて不登校になり、裁判にまで発展したケースさえあった。
 この裁判で大阪地裁は、髪の染色などを禁じる校則は「学校の裁量権の範囲内」との判断を示す一方で、府に33万円の支払いを命じる判決を下している。これは、不登校になったあとに生徒の机を撤去したり名簿から削除したことを問題としたもので、校則そのものの違法性を認めたわけではない。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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