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なぜ?若手に広まる「会社を頼るな」という風潮

なぜ、心が折れる職場になってしまうのか?(後編)

■新人を押しつけ合う、上司と人事の綱引き

 仕事はほどほどに、効率よくさっさと済ませ、私生活を充実させることで幸せを感じたいと思っている若者。そんな彼らのことを、高度成長期の価値観を引きずる40代半ば以上の上司世代が理解するのは容易ではありません。また、上司世代にとって不可解な若者の言動を「ゆとり世代」や「さとり世代」といった言葉でくくろうとしますが、これも彼らの実態を捉えているとは言えません。

 私の考えでは、今の若者は次の二つのパターンに分かれると思います。

 一つは、受け身型の若者です。こちらから指示しないと動かない、あるいは指示されたこともなかなかやらない。上司からすれば「やらない」と見える人たちです。

 もう一つは、やたらと意味を求める若者です。上司が指示すると「何のためにこれをやるんですか」「これって意味があるんですか」といちいち突っかかるタイプ。素直に「はい」とは決して言わない、非常に扱いづらい相手です。

 どちらのタイプも、言動の裏にあるのは「自分だけ損したくない」という意識ではないでしょうか。

 若者が受け身であるのは、「自分から積極的に動いた結果、もし失敗でもすれ ば叱られるのは自分」「いくら上司の指示でも、プライベートを犠牲にしてまで仕事するのは損」と思っているからです。あるいは、きちんと教えられていないので、どうやればいいかわからないという理由もあるでしょう。

 一方で、意味を求める若者たちは、「自分のスキルアップや成長につながらなければやる意味がない」と思っています。

 これに対し、年配の上司は「俺たちは『やれ』と言われたら『わかりました』とやったものだ」と憤慨します。ただ当時は「理不尽にも耐えていればいずれ給料が上がる」と信じることができた時代でした。今の若者はそうは思っていません。だから「何のためにやるんですか?」と聞くわけです。

 自分からは動こうとしない若手社員に対し、ただでさえ多忙を極めるプレイングマネジャーはお手上げの状態です。

 そこで勃発するのが、「新人を教育するのは誰か」という責任のなすり合いです。「もっと使えるようになってから現場に配属してほしい」と不満を募らせる現場リーダーと、「仕事は現場でのOJT(日常業務を通じた従業員教育)で覚えていくものだ」と考える人事。新人教育をめぐる両者の対立は、大企業になるほど深刻です。

 問題の根っこにあるのは、「自分だけ損したくない」という若者の防衛意識です。そのことを上司や現場リーダー、人事も理解する必要があるでしょう。その若者意識を醸成したのは、大人たちがつくってきた社会だということも忘れてはならないと思います。

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前川 孝雄

まえかわ たかお

(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師

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大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「上司力研修」「育成風土を創る社内報」「人を活かす経営者ゼミ」などを手掛け、約300社で人が育つ現場づくりを支援。自らも年間100本超の講演、TV番組、雑誌に出演。YAHOO! 「前川孝雄の人が育つ会社研究室」など連載も数多く持つ。


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  • 2016.08.09