【なぜ、職場改革をしても、社員は辞めていくのか?(後編)】 | BEST T!MESコラム

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なぜ、職場改革をしても、社員は辞めていくのか?(後編)

会社が進めるピント外れの職場改革の現状

 組織を活性化させるために、企業はさまざまな職場改革に取り組んでいる。ただ、一見正しく思える改革でも、現場では矛盾を生んだり、管理職が対応に困る改革もある。ピント外れの原因は、改革のための制度だけを導入し、働きがいのある職場にするための本質的な議論を欠いていることがあるのだ。形式的な職場改革が、職場のさらなる混乱と、働く人たちのモチベーション低下を招いている残念なケースを紹介する。『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(弊社刊)の著者、前川孝雄氏に聞いてみた。

●安易に行なうマネジメントは失敗する

 コーチング以外にも、アサーション、メンタリング、アンガーマネジメント……、欧米から次々に入ってくる最先端のビジネスフレームは枚挙にいとまがありません。企業では、職場に顕在化する問題への対処法として、こうした手法を採用する動きがあります。

 

 これらのビジネスフレームを簡単に説明すると、「アサーション」はコミュニケーションスキルの一つで、自分の主張だけを押し通すのではなく、相手の主張も受け入れながら合意形成を行っていく手法です。「メンタリング」は人材育成・指導法の一つで、メンターと呼ばれる指導者が、対話や交流を通じて被育成者の自発的な成長を促す手法です。「アンガーマネジメント」は、怒りを相手にぶつけるのではなく、怒りをコントロールすることで適切なコミュニケーションや課題解決につなげる技術です。

 ただし、これらのテクニックを学んだからといって、マネジメントや部下指導がうまくできるようになるわけではありません。マネジメントや部下指導に「これが絶対的に正しいやり方」というものは存在しないのです。しかし、現場では「この手法を学んで実践すれば問題を解決できる」と短絡的な話になりがちです。

 少し前にコーチングが大流行した頃、「聞くだけ上司」が増えていると耳にしました。「今の仕事はどう?」「週末は何をしていたの?」などと部下に声をかけるものの、本当に「ただ質問しているだけ」になっている上司がいるそうです。これまで部下の意見に耳など貸さなかったのに、突然コーチングの真似事で部下を質問攻めにしたため、「何か魂胆があるんじゃないか」と部下に不気味がられるパターンです。

 このように、マネジメント手法を真似てみてもうまくいかず、かえって職場をギクシャクさせるケースは多いように思えます。これは、企業がマネジメント手法を社内に導入する際に、手っ取り早くテクニックを伝授しようとすることで起きる弊害といえます。

 たとえば、「部下が育たない」など職場で顕在化する問題に対し、会社は即効薬として「部下の育成ではコーチングが大事です。管理職はコーチング研修を受けなさい」と管理職に通達します。それが管理職側では「コーチングという手法を学べば、部下育成がうまくいく」というメッセージに転換されてしまっているのです。

 私たちが、管理職向け研修で繰り返しお伝えしているのは、「やり方の前にあり方」ということです。自分はどのような信念や指針に基づいて部下指導やマネジメントに向き合っていくのか──これが「あり方」です。この「あり方」が定まったら、適切な手法やテクニックを臨機応変に用いながら、自分なりの「やり方」を構築することが大切なのです。

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前川 孝雄

まえかわ たかお

(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師

紀伊國屋書店 新宿本店、紀伊國屋書店 梅田本店、

丸善 丸の内本店、文教堂書店 浜松町店 

1位

「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベスト新書)

大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「上司力研修」「育成風土を創る社内報」「人を活かす経営者ゼミ」などを手掛け、約300社で人が育つ現場づくりを支援。自らも年間100本超の講演、TV番組、雑誌に出演。YAHOO! 「前川孝雄の人が育つ会社研究室」など連載も数多く持つ。


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  • 前川 孝雄
  • 2016.08.09