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“なんくるないさ”を多くの沖縄県民は誤解している

誰もが一度は聞いたことがあるメジャー方言の真の意味

■抜け落ちている“まくとぅーそうけば”という枕言葉

沖縄に旅行が行ったことがある人なら、一度は“なんくるないさ”を耳にしたことがあるだろう。
(画像:フォトライブラリー)
 

 先日の平昌五輪では、カーリング女子日本代表の“そだねー”という北海道地方独特の言葉遣いが話題を呼んだ。その北海道の真反対、私が生まれ育った沖縄には“なんくるないさ”という有名な方言がある。

 今回、この“なんくるないさ”についてわざわざ書こうと思ったのは、多くの人がその本当の意味を理解していないからだ。沖縄県民ですらも、である。

 まず、種明かしをすると、以前にも書いたことだが、“なんくるないさ”には、“まくとぅーそうけば”という枕言葉が抜けている。これを補うと「正しいことをしておけば、物事はいいように進む(なんとかなる)ものだよ」となる。これが本来の意味である。

 この意味で正しく使えているのは、60代後半の団塊世代より上の年代の人が多い。

 沖縄は台風銀座とよばれている。なので台風接近のニュースが流れると、農家たちは作物を守るための努力をこれでもかというぐらいする。しかしそれでも心配なのだ。そういったときに“なんくるないさ”という言葉を使う。

 しかし、である。沖縄県ではこんな使われ方をよく耳にする。

 居酒屋などで、

A「明日、仕事で朝早いからお酒はやめておくよ。」

B「大丈夫、なんくるなるよ。」

A「そうだな、じゃ飲むわ!」

 といった具合だ。で「なんくるならない」ことが多い。次の日はたいてい、仮病をつかって午後からの出勤となる。 

 次は大学生でよくある会話だ。

A「期末テストにバイト入れちゃったんだよね」

B「大丈夫、なんくるなるよ」

 この場合もなんくるなることはなく大事な単位を落とすことになる。

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神里 純平

1979年生まれ。沖縄県在住の会社員。

中堅のリサイクルメーカーにサラリーマンとして勤務し、会社内から出る産業廃棄物の収集運搬やグループ内の在庫移動の業務に従事する毎日。少年の頃には紆余曲折があったが、現在は友人たちと一緒に、仕事後や休みの日に子どもたちに格闘技を指導することがライフワークとなっている。好きな言葉は「人生一生雑巾がけ」。著書に『沖縄裏の歩き方』(彩図社)がある。


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