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“なんくるないさ”を多くの沖縄県民は誤解している

誰もが一度は聞いたことがあるメジャー方言の真の意味

■後ろめたいことをする免罪符として使われている現状

 つまり、何か後ろめたいことをするときの免罪符として使う言葉が“なんくるないさ”になってしまっている。かくいう私も何度この言葉を免罪符にして自分の首を自分でしめて痛い目にあったかわからない。同世代の沖縄人なら、「うん、うん」と納得するのではないだろうか。当然、世の中にはなんくるならないことの方が多い。

 私の場合はこうだった。

 大学生の頃、携帯電話の支払日前日に友人に飲み会に誘われ、断りきれずに朝まで飲み歩き。結果「なんくるならなくて」電話を止められたことが一度や二度ならずあった。いまでは笑い話であるが。

 こんな苦い経験もある。

 現在は音信不通になってしまっているが、私が20代前半のころ両親の都合で相当額の借金を背負ってしまった友人がいた。

 私は「大丈夫、なんくるなるよ」と声をかけた。

 すると友人は「なんくるなるわけないよ!!」と吐き捨てるように言った。

 我ながら軽率なことを言ってしまったと反省をしたものだ。

 80代の年長者に聞くと、そもそも「“なんくるないさ”は、お金持ちや心の余裕がある人がつかう言葉」だそうだ。つまり目標に向かい正しい努力を積み重ね、成功を勝ち取った人がさらに前にすすもうとするときに自らを鼓舞するために使う言葉と言える。

 いま、沖縄の経済状況は厳しい。多くの人が貧困状況の中で生きているが、安易な“なんくるないさ”精神は捨て、まずは地道な努力を積み重ねるべきではないだろうか。

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神里 純平

1979年生まれ。沖縄県在住の会社員。

中堅のリサイクルメーカーにサラリーマンとして勤務し、会社内から出る産業廃棄物の収集運搬やグループ内の在庫移動の業務に従事する毎日。少年の頃には紆余曲折があったが、現在は友人たちと一緒に、仕事後や休みの日に子どもたちに格闘技を指導することがライフワークとなっている。好きな言葉は「人生一生雑巾がけ」。著書に『沖縄裏の歩き方』(彩図社)がある。


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