「大阪都構想」の真実~「何となく賛成」の方にこそ知って貰いたい「大阪市廃止」という事実〜(藤井聡) |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「大阪都構想」の真実~「何となく賛成」の方にこそ知って貰いたい「大阪市廃止」という事実〜(藤井聡)

「大阪都構想」は壮大な誤魔化し!? 京大教授藤井聡が暴く!

2020年9月23日に大阪都構想で吉村府知事と松井一郎大阪市長が会見。大阪都が実現したときのメリットだけを挙げ、デメリットを伝えないとい府民から非難を浴びている。住民投票は11月1日に投開票が行われる。

111日に、いわゆる「大阪都構想」の住民投票が大阪市で行われます。

しかし、「大阪都構想」という言葉は、正式なものではありません。

まずはこちらの写真をご覧下さい。

https://scontent-lax3-1.xx.fbcdn.net/v/t1.0-9/121104433_2901436049957319_1843937019951161793_o.jpg?_nc_cat=104&_nc_sid=730e14&_nc_ohc=Bp6EV1EQeokAX-rbGXJ&_nc_ht=scontent-lax3-1.xx&oh=d26246a8b17e824c51a73cdbdff16177&oe=5FAB0AF5

これは、今、大阪市の各戸に「選挙管理委員会」から配布されている正式の住民投票の告知資料の「表面」と「裏面」の見出しの写真です。ご覧の様にそのタイトルは「大阪市廃止・特別区設置住民投票」であり「大阪都構想」ではないのです。それどころか、この正式資料のどこを見ても「大阪都構想」の文字は見当たりません。

つまり、「大阪都構想」という言葉はただ単に、その推進派である大阪維新の会が使っている「ニックネーム」であって、その実態は端的に言うなら「大阪市廃止」なのです。それにも拘わらずマスメディアもその「推進派の維新の通称」をそのまま使ってしまっているだけなのです。

これこそ、「大阪都構想」と呼ばれるものの「真実」です。

ただし……大阪都構想を巡ってはあらゆる「デマ」と言わざるを得ない言説が世間に激しく浸透しており、こうした「真実」がほとんど一般に伝わっていないのが実態です。 

その結果、「都構想=大阪市廃止」という程度の基本中の基本の「真実」すらほとんど世間に知られていない状況にあるのです(例えば、5年前の筆者の調査では都構想とは大阪市を廃止するものだという真実を過不足なる知っていた大阪の方は、僅か8.7でした)。https://38news.jp/politics/16764

 

次のページ■これは誠に由々しき事態……。 

KEYWORDS:

オススメ記事

藤井 聡

ふじい さとし

1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授(都市社会工学専攻)。京都大学工学部卒、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科研究員、東京工業大学助教授、教授等を経て、2009年より現職。また、11年より京都大学レジリエンス実践ユニット長、12年より18年まで安倍内閣・内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)、18年よりカールスタッド大学客員教授、ならびに『表現者クライテリオン』編集長。文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。専門は公共政策論。著書に『経済レジリエンス宣言』(日本評論社)、『国民所得を80万円増やす経済政策』『「10%消費税」が日本経済を破壊する』『〈凡庸〉という悪魔』(共に晶文社)、『プラグマティズムの作法』(技術評論社)、『社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版)、『大衆社会の処方箋』『国土学』(共に北樹出版)、『令和日本・再生計画』(小学館新書)、MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実(晶文社)など多数。

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

都構想の真実 「大阪市廃止」が導く日本の没落
都構想の真実 「大阪市廃止」が導く日本の没落
  • 藤井 聡
  • 2020.10.12