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狩猟に適した車って!?

【第25回】都内の美人営業マンが会社を辞めて茨城の奥地で狩女子になった件

■意外と見落としがちな狩猟時の車の重要性

 皆さんこんにちは! 茨城県でヨガのインストラクターの傍ら、新米猟師をしているNozomiです。前回は猟犬の種類や特性などについて綴らせて頂きましたね。今回は狩猟に使う車、『狩猟車』について綴らせて頂きます。 狩猟を始めるにあたって、移動手段に不安を持っていたり、悩んだりする方も多いはず。私はたまたま祖父の遺してくれた農業用の軽トラックを使う事が出来たので良かったですが、これから車を購入する人は値段が値段だけに大変ですし、選択肢がある分、おおいに悩んじゃいますね……。今回は先輩猟師さんの意見や失敗談なども取り入れながら勉強していきましょう!

  

 さっそくですが、貴方は狩猟を行う上で必要なものと言えば何を思い浮かべますか? 銃? 罠? 狩猟免許? ナイフ?

 実は……車も重要です。大抵の猟場は山の中ですし、いろいろな荷物も運ぶ必要が出てきます。獲物が取れればそれを持ち帰るのにも使いますし、そもそも狩猟免許の試験会場が射撃場を兼ねた山奥の施設だったりします。グループ猟なら車載無線を使うこともありますし、何より猟期は冬。車の暖房が何よりもありがたいと思う事もあります。狩猟マンガの「山賊ダイアリー」でも、主人公はオートバイしか持ってないですが、狩猟のシーンでは大抵誰かの車に乗ってますし、初の獲物が穫れた時は狩猟仲間に車での救援を頼んでいます。ちなみに私の知り合いのおじぃちゃん罠猟師(80代)も、オートバイのみで活動しています。罠はオートバイについているカゴに入れて運んでいますが、どうやって80代のおじぃちゃんが大きな獲物を運んでいるのでしょうか? それは簡単です。長年の地域貢献と、持ち前の素晴らしいコミュニケーション能力で、獲物が捕れていた場合、電話一本で私達のような若い衆が駆け付けます(笑)

 今でこそ、そんなスタイルのおじぃちゃんですが、ちょっと前までは獲物が取れた場合は、大きければ現場である程度捌いて運んだり、獲物が小さければオートバイに括り付けて運んでいたそうですよ。

  

 さぁ、そんな『絶対に必要では無いけれど、狩猟をするならば、あったほうが便利で絶対に欲しくなる車』はどんなものが狩猟に向いているのでしょうか。分類別にするのが難しかったのですが、現役の先輩猟師さん約50名の意見を参考にしながら、いくつか例を上げて説明します。

  

 【RV車・SUV車 】
RV:Recreational Vehicle(レクリエーショナル・ビークル=休暇・楽しみのための車)、SUV:Sports Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル=スポーツ用多目的車)の略で、定義としてはあまり厳密なくくりでは無いですが、ちょっと車高が高くて、後ろに予備のタイヤが付いてたりするアウトドア趣味向けの車の総称です。最近は大きくて高級な車種が多く出ていますが、これは「軽いアウトドア・レジャーも楽しめる」くらいのもので、自身の狩場にもよりますが、狭い山道や砂利道・泥道を走り回る狩猟にはあまり適さないことが多いです。猟場が広い場合や、普段乗りを重視して選ぶならアリだと思います。

 <現役猟師さんが乗っている車>
トヨタ:ハイラックス、ハリアー、ランドクルーザープラド 三菱:デリカ、パジェロミニ スバル:フォレスターなど

写真:Toyota_hilux_2017_japan

  

 【クロスカントリー 】
内容が被るのでRV車・SUV車の中に混ぜようと思ったのですが、あえて別でピックアップしました! Cross country という名前通り、道なき道を突っ切る為の車です。クロカンと略したりもします。高い車高に頑丈な車体、強靭な足回りを持っています。その分車内は少し狭い車種もあります。雪や泥にハマった時用に電動ウインチが付いている(後付できる)ものがありますが、これは大型の獲物の引き出しには最強級の武器になります。車のお尻にヒッチキャリア(物によっては違法になりますので注意……)という後付の荷台を取り付ければ、車内を汚さず獲物や荷物を運ぶことも出来ます。近年のキャンプ・アウトドアブームで人気が出ており、軽やコンパクトタイプのクロカンは射撃場などでも良く見かける車種の一つです。……電動ウインチいいなぁ。

 <現役猟師さんが乗っている車>
トヨタ:ランドクルーザー スズキ:ジムニー 三菱:パジェロ ジープ:ラングラーなど

写真:JMN18_Suzuki_Jimny_XC_JB64_1

  

 【軽バン・軽ワゴン 】
小さな車体に広い車内、4人乗り。そして何より価格が安い。山に入るとどうしても垂れた枝や跳ねた石で車体が傷だらけになります。いろんな道具を車内に置いて放置もできるので(銃はダメです)、普段遣いとしても結構便利に使えます。乗用のワゴンと商用のワゴンがありますが、内装や外装の違いだけでは基本構造は同じだったりします。近年の軽ワゴンはシートが完全フラットに倒せる車種もあるので、車中泊用としても人気があります。

 <現役猟師さんが乗っている車>
スズキ:エブリイワゴン ホンダ:Nバン ダイハツ:ハイゼットカーゴなど

写真:Suzuki_EVERY_JOIN_TURBO_(DA17V)_front

  

 

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Nozomi

ノゾミ

茨城県の新米猟師。本業はヨガのインストラクター。東京に10年以上住んだ後、一念発起して茨城へ移住。ヨガレッスンの傍ら、おばあちゃんの畑のお手伝いをしている。畑に出る猪を駆除するために“狩猟免許”を取り仲間と共に害獣駆除を開始。近年の猟師・農家の高齢化・減少の現実受けて少しでも若い人に、そしてたくさんの人に“農業”について、“狩猟”について、そして“いのち”について興味を持って持ってもらいたいという想いから2019年1月よりYouTubeにて“Nozomi's狩チャンネル”を配信。2020年にはワーキングウエア(作業服)・防寒着・安全靴・長靴、レインスーツの専門店チェーン<ワークマン>公式アンバサダーにも就任。



♦Nozomi's狩チャンネル

https://www.youtube.com/c/nozomikarichan



♦ランドネたのしみ隊第一期生


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