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「我々は一番熱い世代だ」、山本昌がおくる同世代へのメッセージ。

50代、はじめての社会人。「両方を経験していることは強み」

Q.「社会人」となって同世代の奮闘をどう感じますか?

 私自身が生きてきた時代を共有していることもありますが、個人的には「一番熱い世代なんじゃないかな?」と感じています。

 古き良き時代を経験していますし、現代の合理的な社会にも適応していかなければならない部分と言いますか、両方を経験していることは非常に強みになるのではないか、と私は考えていますね。

 私自身もそれを経験してきました。

 入団当初のプロ野球界は年功序列の意識が強かったと言いますか、まずは先輩やコーチなど目上の先輩の指示は絶対でしたね。例えば、今ではランニングメニューはトレーナーさんが効率的に考えてくれますが、当時はとにかく「走れ、走れ!」でしたから。春季キャンプなどの練習期間は「とことん走って、倒れたらその日の練習は終わりだから」といった日々を過ごしておりました。

 筋力トレーニングも同様です。当時もキャンプの練習場にはトレーニングルームがあったことはあったのですが、テントの中にダンベルやバーベルが無造作に置かれているくらいで、誰かが使用した形跡などありませんでした。それよりも、腹筋や背筋、腕立て伏せ、スクワットなどをとことんやらされましたね。これも、ランニングと同じで「倒れるまでやりなさい。倒れたら、その日の練習は終了」でした。

 このような練習をこなしてきた私からすれば、今の若い選手は本当に恵まれていると思います。繰り返しになりますが、トレーナーさんがしっかりとトレーニングメニューを作ってくれますし、練習後にはコンディショニング担当の方々がマッサージなどでしっかりと体をケアしてくれる。一時代前の「根性論」的な練習も経験している私としては、本当に「いい時代になったな」と思います。昨今、私も含め現役時代を長く過ごせる選手が増えたのは、そういったことも大きく関係していると思います。

 

 私は一般企業に就職したことがないので偉そうには言えませんが、いま中間管理職などで奮闘されるサラリーマンの方々も、きっとこうした僕と似たような経験を経ていまがあるのだと思います。私は、同世代の方々にはバイタリティがあると思っていますし、いざとなった時の爆発力や勢いなんかは、若手社員に負けないものを備えているはずなんです。もちろん、メンタルも強いでしょうから、お互い頑張っていけたらいいなと思います。

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山本 昌

やまもと まさ

1965年8月11日、東京都生まれ。神奈川・日大藤沢高から83年秋のドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。プロ5年目、88年の米国への野球留学をきっかけに飛躍し、同年8月プロ初勝利。以後はスクリューボールを武器に活躍する。93年に最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得すると、翌94年には連続最多勝利と沢村賞に輝く。97年にも最多勝利。2006年9月16日対阪神戦でプロ野球史上最年長の41歳1カ月でノーヒットノーラン、08年8月4日の巨人戦で史上24人目となる通算200勝を樹立。通算581試合に登板し219勝165敗。


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