大手回転寿司チェーン店で迷惑動画 ジャンクフードと化したスシで遊ぶ人たちは消滅するのか |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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大手回転寿司チェーン店で迷惑動画 ジャンクフードと化したスシで遊ぶ人たちは消滅するのか

大手回転ずしチェーン「くら寿司」の名古屋市内の店舗でも迷惑動画。威力業務妨害の疑いで男女3人が逮捕。

 

 大人になるとお菓子を食べる量が減ったり、食べなくなったりしていきますが、育ち盛りの子供たちにとって、お菓子のような甘い炭水化物の塊はとても美味しく誘惑が強い食べ物です。

 私は大人になった今でも定期的に甘いものを食べたくなりますが、子供時代に比べると一度に食べることが出来る量は格段に減りました。子供の頃は何故あんなにもたくさんのお菓子を食べることが出来たのか・・・今思うと不思議です。

 1月末頃に回転寿司チェーン店「スシロー」で、醤油さしや湯飲みをぺろぺろ舐めて元に戻したり、指を舐めてレーンにある寿司を触ったりする高校生の動画がSNSで拡散され、大炎上となっております。

【独占】スシロー「湯呑みペロペロ」高校生の父親が涙の謝罪 「本人はものすごく反省しています」「動画撮影はしていない」 2023.02.02

 

 動画がインフルエンサーによって拡散され炎上。その勢いは止まらず海外にまで広がり、スシローの株価が急落するなど大きな影響が出るまでになりました。アメリカのニュースサイトで「スシテロリスト」などと揶揄されておもしろおかしく紹介されていましたが、どうしてここまで話がおおきくなっちゃったんですかね。

 定期的におふざけ行為を自分たちでネットの海に放流し、炎上してしまう彼ら彼女らの存在は、SNSとシナジーが強く、切っても切れない存在になっています。残念なことです。こういった炎上劇はある種の娯楽として定着してしまっているのがネット社会の現実です

 さて、社会常識を獲得した倫理観を持つ大人にとって、何故そのような行為を動画に撮影し、わざわざ自分たちでSNSに投稿するのか理解が難しいかもしれません。

 目を閉じて、今まで関わったことがある人たちを思い浮かべてみてください。若かりし頃、簡単に友達を殴ったり、万引き自慢をしたり、飲食店で騒ぐなどの迷惑行為をしていたようなラインを超えておふざけをする人が、ひとりやふたりはいるのではないでしょうか?

 今の世の中は、そういったラインを超える人がその場のノリでおもしろおかしくおふざけをするだけではなく、「動画や写真に記録しSNSへ投稿するまでが、おふざけの範囲に入っている」と考えて頂ければいいと思います。

 最もポピュラーなライン超えに、「ビニール傘の窃盗」があります。

 急に雨が降って来て傘がない。そんな時、傘置き場にビニール傘があると、そのまま盗んでいく人が古来より後を絶ちません。許せませんよ、本当に。

 私は以前勤めていた職場で、ビニール傘に名前と住所を書いていたにも関わらず盗まれたことがありました。理解が追い付かない中、私の心は火山が噴火する寸前かのように煮えたぎっていましたよ。職場の傘置き場でここまでしても「盗む〇野郎がいるのか」と憤慨した思い出があります。ビニール傘だからって盗んじゃダメですよ?

 上司に相談したら、「仕方ないよ」って言われた悲しい思い出です。

 こういった倫理観を、子供は親や学校、周りの大人たちから学んでいる最中であることを覚えておく必要があります。子供たちが在籍する中学や高校によっては自転車を盗み盗まれといったことが当たり前だったりする程度には倫理観が成熟していない年頃になります。

 また、悪いことがかっこいいという文化が子どもたちには根強く、憧れを抱く子供たちがいることも事実です。だからこそ、悪いことをした子どもには、それがどの程度悪いことなのかをしっかり理解させ、反省をさせる必要があります。

 もし、「たいしたことないや」などと反省することなく日々を過ごすようなことになると、おふざけを繰り返しながら大人になってしまい、煽り運転をするような大人になってしまうかもしれません。

 私は、子どもたちが成人するまでに、冗談で済むレベルを超えたやらかしをしっかりと叱り、最低限の社会常識や倫理観を教え込むのは大人たちの役割なのであって、正義棒でただ殴るだけというのは違う気がしています。

 一方で、SNSを中心としたネットでは一般的な大人たちが役割を果たすことは困難であり、影響力を持つ大人たちの倫理観に委ねられる面が大きいと考えています。SNSは言うだけなら誰でもできる、しかも距離感がある他人や子ども相手ですから、批判が渦巻くと過剰になりやすく容赦もありません。

 炎上した子どもたちを無理に擁護する必要はないと思いますが、反省をうながすような言葉を添え、子どもにも理解しやすい表現でそれが悪いことだと伝わっていく風土になっていってほしく思います。

 ここまでは子どもに焦点をあてて話をしてきましたが、炎上の舞台となったスシローに問題がなかったのか?といった点が気になる方もいると思います。

 そもそも、スシローはこういったおふざけをする可能性がある層へアプローチしている傾向があり、炎上が起こるべくして起きている気もします。

次のページスシローはリスクのある客層をターゲットにしていた!?

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谷龍哉

たに りゅうや

谷 龍哉(たに・りゅうや)

1983年生まれ。三重県伊勢市出身。ネット情報アナリストとして、インターネット上の社会事象や問題発生の経緯の情報収集、分析に従事。

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