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「新型コロナ対策」緩和の今 マスク不要の懐かしき社会生活

厚生労働省のサイトには、「屋外では季節を問わず、マスクの着用は原則不要です。」と書かれているが・・・(写真:PIXTA)

 

 「防御を撤回した城」という言葉があります。この言葉は防御を撤回したことで、自身や集団が弱体化してしまい、脆弱になることを意味します。

 私も戦略的に防御を薄くしたり、撤回したりすることで全体としての成果を得ることがあります。しかし、そういったある種の犠牲を伴う戦略は、実施する前に深く理解と検討を重ね、実施後も犠牲と成果を確認し、反省することで改善点を探します。

 新型コロナウイルスの感染が広がり始めた当時、何も分からない謎のウイルスが世界へひろがっていく様は、衝撃が大きかったのではないでしょうか。

 新型コロナとはなんぞや?と理解する間もなく、多くの人々が死亡していくニュースを見る日々に恐怖を覚えた方も少なくないと思います。

 そんな未知のウイルスに対して、世界では早期のワクチン開発が求められる機運が高まっていました。

 未知への恐怖は、理性的な人であっても容易に感情的な行動へ突き動かしてしまい、一般的には理解が難しい主張や行動をとるようになります。また、同じ考えを持つ同志が集まり、結束を強めることで恐怖へ打ち勝とうとすることがあり、ネット上でそういった光景をみた方もいるのではないでしょうか。

 そんな中、新型コロナのワクチン開発で、安全性にかける時間を短くしたことにより、死亡するか重篤な副反応が出てしまう人の確率が、低い確率ではありますが、安全性に時間をかけたワクチンよりも高くなっているのは間違いないでしょう。

 ここで伝えておきたいのは「一般的な、安全性の確認に時間をかけたワクチンに比べて」であり、日本で承認された新型コロナワクチンの安全性は高い水準の物であるということです。

 当時は他国に比べ、日本がワクチンの承認に時間をかけていたことへの非難があったほどであり、ワクチンの承認を早くしろと頭に血を登らせながら激昂しておられた方々がちらほらといたのを覚えております。

 新型コロナワクチンの接種が、「個人の意思」であるべきか「社会の義務」であるかは、意見が分かれると思いますが、少ない確率とはいえ死亡するか重篤な副反応が出てしまうリスクがある以上、最後は個人の判断に委ねられるべきだと思います。

 私自身は新型コロナに感染した場合、リスクが増大する病を患っているので接種する選択をしています。今月5回目の接種をおえており、副反応で発熱し寝込んでいましたが、数日で熱も下がり元気になりました。

 現在、新型コロナワクチンの接種は、単にする、しないの話にとどまらず、国民の分断を生んでおり、「つきあいのある人が新型コロナ禍以前と以降で別人に感じる」、「自身が目覚めて変わった」という方もいるのではないでしょうか。

 国が政策として実施している新型コロナワクチンの接種は、個人ではなく国民全体を対象にした視点で実施されており、新型コロナに感染しても平気な人がワクチン接種で死亡してしまう事例が必ず出てしまいます。

 亡くなった方の親族や重篤な副反応が出てしまった方は到底納得できるはずもなく、新型コロナワクチンに対して強い怒りを覚えるのは自然なことであり、そういった感情を我々は広く理解する必要があるのではないでしょうか。

 また、ワクチン接種後に新型コロナへ感染した人が、周りにどの程度感染を広げるかについての知見を得ることもできない状況のなか、経済との兼ね合いからワクチンパスポートのような制度が急速に広がって行ったことも、国民を分断する大きな要因だったと思います。

 仲の良かった友人知人が新型コロナ禍をきっかけに、自分とは違う考え方になり、疎遠になってしまったという方もいるとは思いますが、このような出来事は世間から影響を受けやすく、意見の対立が起きても寛容な気持ちを持てるよう心掛けることが大切です。

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谷龍哉

たに りゅうや

谷 龍哉(たに・りゅうや)

1983年生まれ。三重県伊勢市出身。ネット情報アナリストとして、インターネット上の社会事象や問題発生の経緯の情報収集、分析に従事。

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