【柳美里 自選作品集 第二巻 家族との再演】 | BEST T!MESコラム

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

柳美里 自選作品集 第二巻 家族との再演

掘り続けている人、柳美里

掘り続けている人、柳美里 自選作品集第二巻

~家族との再演

『フルハウス』『家族シネマ』

『水辺のゆりかご』『家族の標本』

             収録

     柳美里 自選作品集第二巻

~家族との再演  <定価・3240円>

   

『すべては〈事実〉であり、

〈?〉であるといえばひとは

胡散臭いと思うであろうか。

私は歴史であれ、政治であれ、

ひとの身の上話であっても、

それは事実であると同時に?

だと思う、その自分の感覚を

信じている。芥川龍之介の有

名な小説「藪の中」に登場する

藪、カオスこそ私にとっての

〈真実〉である。

 ではいったいこれは何なのだ

ろう。あるひとは〈自伝〉

だといい、あるひとは〈小説〉

だといい、〈エッセイ〉だという

ひともいるかもしれない。

 ここに登場するひとたちは、実際に私の前に現れたひとびとだと断言する。懐かしく、哀しい思いを?き立てるひとびとだ。彼らは存在したし、今でも存在している。私が浜辺で見た幻覚だったにしろ──、そう、この世はある種の幻覚なのだ。

 多くのひとが現れて、去る──、そんなことは私だけで

はなく誰もが経験する〈哀しみ〉だろう。残るのは思い出、

記憶にすぎない。そしてこの記憶こそが物語であり、物語

の〈変容〉の一切である。これは〈自伝〉でもなく〈小説〉

でもないとして、私はいおう。これは言葉の堆積である、

言葉の土砂であると──。

            『水辺のゆりかご』あとがきより

 

「書きつけた言葉の運動が、

その確かさ、狂気が孕む真顔が、

読者に息を飲ませる。」

             ──小山田浩子(作家)解説より

 

BACK NUMBER もっと見る

もっと見る

柳 美里

ゆう みり

1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。役者、演出助手を経て、86年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年、『家族シネマ』で芥川賞を受賞。著書に『フルハウス』(泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞)、『ゴールドラッシュ』(木山捷平文学賞)、『命』、『8月の果て』、『雨と夢のあとに』、『グッドバイ・ママ』、『JR上野駅公園口』、『貧乏の神様』、『ねこのおうち』、『まちあわせ』他多数。

写真/大森克己



 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

柳美里 自選作品集 第二巻 家族の再演 (柳美里自選作品集)
柳美里 自選作品集 第二巻 家族の再演 (柳美里自選作品集)
  • 柳 美里
  • 2018.06.21