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エディーHC メディアの批判を意に介さない理由

自分の力でコントロールできない事を心配するな【「プレッシャー」の力①】

プレッシャーを避けるではなく、うまく利用する――。日々重圧の中で戦う日本のビジネスマンに向け、現在ラグビーイングランド代表で指揮をとるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)がアドバイスを送る。特別連載第1回。

■メディアの批判は何のプレッシャーにもならない

――23戦22勝。2015年末の就任以来、今年2月〜3月に行われた欧州ラグビー最高峰の大会、シックスネーションズ開幕前までの、エディー・ジョーンズHCのイングランド代表での戦績だ。この大会でイングランド代表は、2勝3敗という誰もが予想していなかった残念な結果に終わった。これを受け、一部のメディアは批判的な論調の記事も展開。ジョーンズ氏はいま、どんなプレッシャーを感じているか? 

 

 どこの国のどんなスポーツであれ、国全体の期待を背負う代表チームのヘッドコーチという仕事は、常に大きなプレッシャーを伴うものだ。特に、ラグビーがメジャースポーツであるイングランドでは、現地のメディアはヒステリックな論調の記事を書くこともあるが、こういうものは私にとっては何のプレッシャーにもならない。なぜなら、メディアが何を書くか、それを読んだ人たちがどう思うかということは、私の力ではコントロールできないからだ。

 イングランド代表チームの監督として、私が自分の力でコントロールできることは、万全な準備を行い、チームを勝たせるよう注力することだけ。メディアやサポーターに何を言われるかを心配する時間があったら、いかにして次の試合に勝つかを考えていた方がいい。

 

 勿論、こうした周りの声は、選手、コーチ陣、スタッフなどに影響する。だからこそ、私は監督としてチームが勝つことのみを考える。勝てば、選手をはじめとしたチームのメンバーたちは、余計なことを心配しなくて済む。

――それでは、自分自身はプレッシャーを感じることはないのか?

 勿論、私だってプレッシャーを感じることはあるし、緊張だってする。だが、私が感じるプレッシャーは、常に自分自身からのプレッシャーだ。国と国が名誉をかけて戦うテストマッチでは、常に勝たなければならないというプレッシャーが存在する。そして、私は代表チームの監督だ。常にチームを勝たせる責任があり、それが自分に対する大きなプレッシャーとなっている。

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エディー・ジョーンズ


 



1960年、オーストラリア、タスマニア州バーニー生まれ。オーストラリア人の父と、日系アメリカ人の母の間に生まれる。1990年代初頭まで、当時オーストラリアの最有力州チームだったニューサウスウェールズ州の代表として活躍、その後引退し、コーチに転身する。2003年、オーストラリアの代表監督としてW杯準優勝、2007年、南アフリカのテクニカルアドバイザーとしてW杯優勝。2009年、サントリーのゼネラルマネージャーに就任。2010年度より監督も兼任し、日本選手権優勝。2012年、日本代表ヘッドコーチに就任。2015年のW杯では、世界的な強豪南アフリカ代表に歴史的な勝利をして、ラグビーファンだけでなく日本中の注目を集めた。現イングランドの代表監督。イングランド代表に就任してからチームは連勝街道を走り、今年2月のシックスネーションズが始まるまでは23戦22勝。今年のシックスネーションズは、3敗を喫したがまだチームは成長過程。2019年、日本で開催されるラグビーW杯での優勝を見据える。


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