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名古屋に「極楽」があった。でも「極楽行き」が難しい!

名古屋地名の由来を歩く【面白地名②】

ノンフィクション作家、谷川彰英が名古屋をたどる。寺院の数が日本一多い愛知県。『名古屋地名の由来を歩く』(著・谷川彰英)より、名古屋の街並みの魅力を紹介する。

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極楽では狩りが行われていた?

ここが「極楽」への道?

 名古屋人のユーモアか素直さか――。まさかこの世に「 極楽(ごくらく) 」 (名古屋市名東区)という 町名があるとは思わなかった。何か人間っぽい香りのする名古屋の町である。

 しかし、極楽行きはそう簡単ではない。駅でいうと地下鉄東山線の一社駅か上社駅で降りるのだが、そこから極楽に行くのはバスしかない。仕方ないので、タクシーをチャーターして取材に回ることにする。

 もともとこの中心地は「 高針(たかばり)村」と呼ばれていたところで、今でも「高針一〜五丁目」と 「高針台一〜三丁目」がある。その隣には「 勢子坊 (せこぼう) 」というこれも何やら意味ありげな町名が続いている。  

「高針」で注意してほしいのは「針」である。これを文字通り「縫い針」をイメージしてしまってはその由来はわからない。この場合「針」は「治」のことで、もとの意味は「開拓」のことである。西日本には特に「治」を使う地名が多く、多くの場合「ばる」 「ばり」と読む。「今治(いまばり)」などはその典型である。だから「高針」は「開拓された高地」という意味になる。

「勢子坊」という地名はまず「勢子」に注目したい。 「勢子」とは狩猟で鳥獣を狩り出したり、逃げるのを防いだりする人夫を指す言葉である。ということはこの地一帯で昔は狩猟が行われていたことになる。

 このように見てくると、この土地がどんな地形のところかは自ずとわかってこよう。名古屋市の東の外れで小高い丘陵地が広がり、高級住宅地と呼べるような家々が続いている。

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。



 



 


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  • 谷川 彰英
  • 2011.10.08