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長野県飯田市「木沢の霜月まつり」

12月に12カ所で湯を立て、3150の神様をお呼びする。

長野県遠山郷出身の写真家・秦達夫さんの写真展「霜月祭あらびるでな」に触発され、その翌週から遠山郷の霜月まつりに行った。前には上町に訪れたのだが今回は、木沢地区と翌日の程野地区。ここでは12月に12ヶ所で湯立神楽を行う。祭りの大きな構成はどこも一緒。湯を立てて全国の3150の神様をお呼びする。神様は釜の湯の先5寸に留まり、神職による神事や諸願成就の舞が奉納される。夜明け近くに、全国の神様にお帰りを願うと、いよいよ土地の神様の登場で大暴れ。ここから祭りが面白くなり、地区によっていろいろなバリエーションが繰り広げられる。会場はそれぞれの地区の神社で、霜月まつり専用仕様になっている。祭りが行われる場所は舞殿(まいど)と呼ばれ、里人によって祭りの前に釜が作られる。釜の形はそれぞれの場所で微妙に違う。

木沢正八幡神社

 

 

 

 

 

ここは最も舞殿(まいど)が最も小さい。祭りに出る人、里人、カメラマンでぎゅうぎゅうになる。釜は3つ並んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

釜の湯の前で、五大尊王の印を結び邪鬼を払う神職。午後10時

 

 

 

 

 

 

 

全国の神々に捧げる神職の舞

 

 

 

 

 

 

全国の神々がお帰りになると、地元の神々が登場する。火の王による煮えたぎった湯を手で切る「湯切り」。

 

 

 

 

 

 

領主であった遠山家の霊が戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

土佐守の奥方が登場。この頃に舞殿は満杯になる。

 

 

 

 

 

 

午前4時。 やがてクライマックスとなる山の神をはじめ四面(よおもて)が登場。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらぶる神たちは「ヨーセヨォ」という里人のかけ声で、里人の中にジャンプして体当たり。里人はこれを受け止める。あらぶる神の体力のある限り、このやりとりが続く。
 

午前4時半。 大黒様が登場。幸を与える。

 

 

 

 

 

最後に最高神「天伯」が登場。五方を剣で切り悪霊を祓う。

 

 

 

 

 

 

 

ここでの楽しみは、祭りが終わったあとの温泉。遠山郷には「かぐらの湯」という大温泉場がある。この晩に、程野で霜月まつりが行われる。

長野県飯田市
霜月まつり
2014年12月13-14日 撮影/芳賀日向

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芳賀 日向

はが ひなた

1956年長野県生まれ。日本写真家協会会員。日本・世界の祭り、芸能を48ヵ国にわたり取材。『週刊朝日百科 日本の祭り』シリーズ連載(朝日新聞社)、『日本の祭り』監修(旅行読売出版)ほか。芳賀ライブラリー代表。


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