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ベテランの存在感とはどういうものか。カープ・石井琢朗「タク論。」

広島カープ・石井琢朗コーチの野球論、第三回

■.新井貴浩「値千金弾」と「数字以上の価値」

 7月7日、神宮球場の対ヤクルト戦。新井貴浩の代打逆転3ランホームラン――。皆さんの記憶にも新しいことでしょう。

 その試合、3対8で迎えた9回表にカープは、5点のビハインドをひっくり返し、見事に勝利を手にしました。この回は、バティスタのホームランから始まり、一死から菊池(涼介)もホームラン。丸(佳浩)が四球で繋ぐと、今度は二死から松山(竜平)、西川(龍馬)が執念で繋いでお膳立てをすると、仕上げ冒頭、代打新井の逆転3ランホームラン。

 そんなベテランの活躍はこれだけでは終わりません。3戦目の7月9日にも、2対3で迎えた9回に代打で登場すると、2日前と同じ小川(泰弘)投手から、今度は同点タイムリーを放っています。

 40歳を超えて衰えを知らないベテランが、勝利をもたらす価値ある一打を放つ。表舞台で存在感を発揮する。すごいことです。

 でもそれ以上に、舞台裏でも、今のチームに欠かせない精神的支柱が新井貴浩なんです。

 今回は、そんなベテランをテーマに僕の考えを伝えていければと思います。

 

 よく「〇〇とハサミは使いよう」と言いますが、それはベテランにも当てはまり、使いようでは、ベンチワークがしやすくもしづらくもなります。使い方を間違えれば、それこそハサミのような凶器と化してしまいますが……、それくらいチームに影響力を与えるのがベテランの存在感と言えます。

 チームにとってベテランとはどういう存在なのか。ベンチに入っている以上は、数字を残す、結果を出すことももちろん大事なことですが、それ以上に求められるモノ(価値)があると僕は思っています。それこそ、今のカープで言ったら新井貴浩の存在です。

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石井 琢朗

いしい たくろう

広島東洋カープ1軍打撃コーチ。1970年8月25日生まれ、栃木県佐野市出身。栃木県足利工業高等学校在籍2年時に夏の甲子園にエースとして出場。1988年、ドラフト外で横浜大洋ホエールズに投手として入団。高卒1年目でいきなり初先発初勝利を挙げるものの、野手への思いが捨てきれず1992年から内野手に。以降、攻守の要として活躍。1998年には不動の一番打者として最多安打、盗塁王を獲得。チーム38年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献する。2009年に広島東洋カープに入団。2012年からはコーチとしてカープを支え、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。著書に「心の伸びしろ」「過去にあらがう」(前田智徳・鈴川卓也と共著)などがありいずれも大きな反響を呼んだ。


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