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コロナ禍で考えてみたい多拠点生活の可能性


人々のライフスタイルを急激に変えたコロナ禍。 『一個人 夏号』(7月9日発売)ではワークスタイルの変化と、今後も同様の不測の事態への備えとして、多拠点生活について論じている。その内容を一部ご紹介します!


■都心も郊外も一長一短

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛によって、人々のライフスタイルが大きく変わった。テレワークや時差出勤の導入によって、自宅で過ごす時間が増えたのだ。そんな中、改めて注目を集めているのがマルチハビテーション、日本語でいうところの多拠点生活だ。

 その言葉の通り、一つの場所に住むのではなく、複数の場所に住むライフスタイルなのだが、いまに始まったものではない。仕事がある平日は都心、休みの週末を軽井沢などの別荘で過ごすような富裕層のライフスタイルがわかりやすい例だろう。昨今はITの進展によって、勤務地に縛られないワークスタイルが可能になっため注目を集めていた。ワークライフバランスが重視される昨今の風潮も一因だ。今回のコロナ禍で、そうした動きに拍車がかかった格好だ。背景には感染のリスクが高い都心の過密を避け、人々が郊外・地方を志向し始めたことがある。

 グローバル都市不動産研究所所長の市川宏雄さんは、次のように話す。

「今回のコロナ禍を受けて、郊外・地方で暮らしたいという願望を持つ人たちが存在するのは事実。実際に実行に移している人も若干ながらいますが、多くは現実的な問題の前に二の足を踏むのではないでしょうか。そもそも都心も郊外・地方も、それぞれ一長一短がありますからね」

 都心に住む最大のメリットは職住近接。だが、テレワークの導入によって、都心で生活する必要性もそれほど高くなくなった。だが一方で、テレワークが導入されたからといって、通勤がゼロになるわけではない。過密を避けるために都心から離れたエリアに住んでも、今度は混雑する電車に長時間揺られて通勤することになり、逆に感染リスクが増すのではないか。そもそも仕事だけでなく、子どもの学校や塾の問題で、簡単に都心を離れられない場合もあるだろう。

「そうした悩ましい問題も、マルチハビテーションなら解決できます。普段は都心の住居で暮らし、コロナのような有事が起きれば、郊外・地方にある拠点へ退避する。別荘のような立派な住まいである必要はありません。山小屋や空き家で十分。今回のコロナ禍は、誰もが予想し得ない出来事でした。しかし、こうしたことは今後も起こる可能性は十分あります。生活拠点が複数あれば、自然災害やパンデミックなどの突発的な出来事にも対応することができます。何よりも、精神的な安心感を得られるメリットが大きい」

■第2の拠点選びの条件

 では、普段は都心で暮らすとして、第2の拠点はどこに設けるべきなのか。市川さんが挙げるのが、①大都市から電車で2時間圏内のエリア②かつての人気エリア――といった条件。

「東京でいえば、ズバリ、狙い目は逗子・葉山(神奈川県)や房総(千葉県)、伊豆(静岡県)です。海が近い逗子・葉山はリゾート地である一方で、住宅地としても人気でしたが、通勤するには時間がかかり過ぎるので、ここのところの都心回帰の動きから取り残されていました。房総や伊豆も、かつての人気別荘地。しかし、伊豆の別荘なんて、今や二束三文で叩き売られているので、セカンドハウスに最適。これらの場所は都心から電車で1時間少々で行けるので、移動の負担も少ない。不動産価格も割安だけに、コロナで人気が復活する可能性があります。目をつけるなら、いまのうちです」

 伊豆高原の中古リゾートマンションなどは、500万円を切るような掘り出し物もある。いまやマルチハビテーションは富裕層だけでなく、我々にも十分実現可能なライフスタイルだといえそうだ。

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牧 隆文

まき たかふみ

ライター

金融専門紙記者、ファッション誌・青年グラビア誌編集者、経済誌編集長を経て独立。独立後はライフスタイルマガジン、ビジネス誌、転職情報誌、アジアンエンタメ誌、実話誌、行政関係の出版物の編集・ライティング、単行本のゴーストライティングに従事。

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