日本で大麻解禁が難しい最大の理由【世界の大麻解禁を問う Part.2】 | BEST TiMESコラム

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日本で大麻解禁が難しい最大の理由【世界の大麻解禁を問う Part.2】


 いま全世界的に大麻解禁の流れが進捗しており、その香ばしい 匂いに引きつかれるように、カネの匂いを嗅ぎつけた実業家たち が大麻ビジネスに群がりつつある。ちょっとしたグリーンラッシュともいうべきムーブメントが巻き起こっている。その現状をお話したのが前回のストーリーであるのだが、では日本はなぜ大麻解禁の方向性が見えないのだろうか? それとも動きがないように見せて、実は水面下で何らかの動きを見せているのだろうか?  はじめての著書『マリフアナ青春治療』を引っさげて、現在カナダで経営コンサルタントとして活躍している工藤悠平氏が、日本の大麻事情の「いま」を赤裸々に語った。


■七味唐辛子の中に普通に入っている大麻

  現在の日本における大麻の状況はかなり複雑になってしまっている。
 まず、大麻取締法だ。現行法の大麻取締法によって花や葉などは規制されているが、産業用や神事用の茎や種などは規制の対象外となっている。
 規制対象外となる大麻製品の例として、誰もが一度は目にしたことのあるだろう七味唐辛子の中にある「麻の実」こそ大麻の種だということを皆様はご存知だろうか? さらにはこの種にも極めて微量ながら陶酔作用のある成分が含まれていたりもする。つまりは皆様が思っている陶酔作用のある成分も合法的な範囲内で誰もが接種している可能性もあるのだ。このような矛盾に対応するためなのかどうかは定かではないが、現行法の大麻取締法の中には「使用」を明確に禁じる条文はない。その代わりに、「所持」や「栽培」などが違法となっていることは、報道の内容などから察することができるだろう。
 次に大麻取締法の枠外において、上記陶酔作用のある成分も規制されている。この規制対象の成分はTHC(テトラヒドロカンナビノール)と呼ばれるものだが、上記のように食品と成り得る場合もあるため、この規制は「含有濃度」にて行われている(込み入った話になってしまうため詳細は省略させていただく)。

■医者さえ知らない大麻の有効成分CBD

 ここまでが現在の日本の大麻の法律周りの整理だ。複雑かつ矛盾だらけといった状態のように感じるのは私だけだろうか?
 ここで見落としてはならない点として、「すでに解禁(そもそも違法ではない)」されている大麻製品もその気になれば日本でも販売可能ということだ。
 ここで特に筆者が胸を熱くして強調したいのは、日本においても実は「グリーンラッシュ」は始まっている、ということだ。時代の最先端を見抜いた実業家たちは上記規制の対象外である「種」に目を付けていたのだ。大麻の種、通称「麻の実」栄養豊富な上に安価だ。もちろん日本国内でも先に述べた通り合法でもある。そして、この種の中に多く含まれるとされるCBDこそが世界中を沸かす奇跡の成分でもある。しかしながら日本においては大麻取締法の中に、医学目的の大麻の研究であってもそれをしてはならない旨が含まれていたことで、日本ではCBDの医学的な研究すらまともになされていない。それゆえ医者すらその効果には疎い、といった盲点まである。
 この環境はつまり、合法であって海外の極端な報道では「万能薬」とすら揶揄される大麻の成分であるCBDが、実は日本では医学的な見地からの法規制を受けない、というまさに「神の道」とも呼べる環境がはじめから存在していた、ということだ。ここに目を付けた実業家たちはすでに動いていたのだ。
 グリーンラッシュの恩恵を受ける起業家たちはやはり「種」に含まれるCBDに目を付けたようだ。比較的安価で入手可能なうえに「健康食品」として売ることには法律的な問題もないようであれば、チャレンジのし甲斐もあるといったところだ。以前ヤフーニュースにて紹介されていた日本における大麻販売店『H & Fディスペンサリー』のオープンには驚かされた人も多いはずだ。今後も国内にCBD製品の生産体制などが整備されさえすればCBDも一つの産業と成り得るのかもしれない。

■日本で大麻解禁が難しい最大の理由

  それでは「嗜好品」としての大麻解禁は日本においてはどうなのだろうか? これについてはやはり『嗜好品アレルギー』の方々からの圧力が未だに強いようだ。あくまで筆者の受けた感覚だが、日本で大麻解禁に対して反対している方々は『陶酔成分』に過剰反応しているように思う。
 これはなぜ過剰反応なのかというと、例えば本質的には酒に含まれるアルコールもまさに陶酔成分であるわけだが、日本において禁止されていないアルコールは危険ではなく、日本において禁止されている大麻は危険であるかのように思い込んでいる方々がとても多いように思うのだ。
 当然これは事情通の方々は鼻で笑ってしまうほどの簡単な矛盾なのだろうが、世界的には大麻は嗜好品として使用する分にはアルコールよりは危険度が低いという調査結果まで科学的にすでに主張されている。
 ところが日本のように法的に接種すること自体が難しい(前述の通りだが、接種自体は違法ではない)環境では、精神作用に対する警戒感から大麻使用による陶酔感の共有自体が難しいことが課題となっているようだ。
 つまりは試してみないことには合法化してもよいか誰もわからない、といった状態とも言えるのかも知れない。この課題については大麻解禁を心から願う筆者までも日本では解禁が難しいのではないか、と感じてしまうほどなのである。

(Part.3へ続く)

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工藤 悠平

くどう ゆうへい

実業家/投資家

1986年生まれ。青森県むつ市出身。実業家。投資家。早稲田大学大学院会計研究科(英文学位: MBA)修了後、事業再生コンサルタントを経てカナダへ移住。カナダ政府、難民保護課勤務『マリフアナ青春治療』が初著書。

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マリフアナ青春治療
  • 悠平, 工藤
  • 2020.03.27