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コロナ危機の後には、大増税が待っているのか?【中野剛志:給付金と増税の矛盾を財政の基本から糾す】


評論家・中野剛志が現在の日本の危機をとらえ、日本のあるべき今を語るシリーズ。今回は、ある大学教授の財政の基本的な「誤解」を通して経済の正しい理解を改めて皆さんに紹介します。


◼️増発された国債償還のための「奇妙な」増税論

 写真:AFP/アフロ

財政再建派小黒一正・法政大学教授が、コロナ危機を克服するために、なんと、国債を発行して一律の現金給付を行うべきだと提言しています。
小黒先生は、2010年に『2020年、日本が破綻する日』(日本経済新聞出版)という本を出していますが、その日は来ないことになったようです。

ただし、小黒先生は、増発された国債を償還するために、のちのち増税が必要になると付け加えるのを忘れません。

今回のコロナウイルスの問題が終息して経済活動が正常化してから、国債発行で賄った財源を長期間(例:10 年間や 20 年間)かつ追加の薄い課税で償還する方法が考えられる。その際、所得の高低などに応じて追加課税を行えば、所得再分配的な効果をもつはずだ。【註1】参照)

【註1】「新型コロナウイルスに対する一考察(2)」法政大学教授 小黒一正

 

しかし、この議論は奇妙ですね。
というのも、昨年、小黒先生は、財政赤字をもっと拡大すべきだという拙著『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』を批判して、次のように述べていたのです。

財政赤字が害をもたらすとわかれば、その時点で適切な水準に財政赤字を縮小すればよいという発想だが、民主主義の下で政府支出の削減や増税を迅速かつ容易に行うのは極めて難しい。【註2】参照)

【註2】2019年7月8日『BEST TiMES』
参院選が近づく中、MMT批判の恐ろしさに震え上がりました

 

ところが、その小黒先生が、今回は、「コロナウイルスの問題が終息して経済活動が正常化してから」、国債の償還と所得再分配のために、追加の課税を行うことを提案しているのです。
ということは、民主主義の下では増税を行うのは難しいから、財政赤字を拡大するなという御説は、撤回されたのですね。
でなければ、おかしいでしょう。

次のページ日本の財政赤字は大きすぎるのではなく、小さすぎる

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中野 剛志

なかの たけし

評論家

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)など多数。


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