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「コロナ危機」から国民を救う政治家を登場させる方法【中野剛志:国民を救う強力な経済対策ワクチンを処方する】


評論家・中野剛志が現在の日本の危機をとらえ、日本のあるべき今を語るシリーズ。今回は、
国会議員の歳費2割削減をめぐる「誤解」の問題を、財政規模拡大し日本経済の収縮を止める論点から「一刀両断」します。


■国家的危機だというのに、実に残念な風潮

写真:ロイター/アフロ

 

コロナウイルスの感染拡大で国民生活が窮迫する中、国会議員の歳費が2割削減されることとなりました。(【註1】参照)

【註1】2020年4月24日『時事ドットコム』 
国会議員歳費2割削減、27日成立へ 衆参1日でスピード処理
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042400765&g=pol

また、国民一律10万円とされた給付金について、国会議員が受け取るかどうかが問題になっています。地方でも、同様の動きが広がっています。(【註2 ①〜③】参照)

【註2-①】2020年4月24日『読売テレビ』(ヤフーニュース) 
大阪府議会 議員報酬5月分の5割削減可決 93万円から46万5千円に減額
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200424-00000064-ytv-l27
【註2-②】2020年4月24日『朝日新聞DIGTAL』
給付金2万円上乗せへ、財源は職員給与 石川県志賀町

https://www.asahi.com/amp/articles/ASN4S6GBHN4SPISC018.html?ref=tw_asahi&__twitter_impression=true
【註2-③】2020年4月24日『産経デジタル』(ヤフーニュース)
山梨知事、給与「1円」に 休業要請「我慢の先頭に」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200424-00000501-san-hlth

こうした騒ぎの中、ここぞとばかりに「国会議員の歳費をもっと削れ」だの「政治家や公務員は給与が下がっていないのだから、給付金をやるな」だのと騒ぐ悪質なアジテーターも出てきました。

国家的危機だというのに、実に残念な風潮です。
こんなことでは、危機を乗り越えられません。

そもそもの問題は、コロナショックで国民が困窮しているのに、十分な経済対策が行われていないため、国民の不満や不安が増大したことです。
ならば、まず政治がやるべきことは、強力な経済対策を行って、国民を困窮から救うことでしょう。

例えば、自民党の安藤裕議員国民民主党の玉木雄一郎代表などは、国債を発行して、100兆円の財政支出を行うことを提言しています。(【註3 ①、②】参照)

【註3-①】2020年4月24日『ロイターニュース/朝日新聞DIGTAL』
国債発行で100兆円の給付を、全業種支援で自民山本・安藤氏提言
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN2261BX.html
【註3-②】2020年4月23日『時事ドットコム』
100兆円「コロナ債」主張 国民・玉木氏

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042300892&g=int

ところが、日本の政治家たちは、国民を困窮から救うという本来やるべきことをやらずに、その代わりに、「政治家も国民と痛みを共有します」などとやっている

川で溺れている人が救助を求めているのに、助ける代わりに、「あなたと苦しみを分かち合います」などと言って息をするのを我慢するようなものです。

政治家のそんな自虐パフォーマンスに溜飲が下がって満足するのは、むしろ、生活に余裕がある人たちでしょう。
本当に困っている国民は「そんなことはどうでもいいから、早く給付金を出して助けてくれ」という思いでしょう。
もちろん、国会議員らの歳費を削減するのは、単なるパフォーマンスだけではなく、経済対策を行うための財源を捻出するというつもりなのでしょう。
確かに、生活に困っていない国会議員の歳費を二割奪って、その分を生活困窮者に渡せば、少なくとも生活困窮者は急場をしのげるようにみえる
しかし、あっちの財政支出を減らして、こっちの財政支出を増やしたところで、財政支出全体の規模が変わらないのならば、日本経済の収縮は止まりません

今、必要なのは、財政支出の規模を拡大して、日本経済全体の収縮を止めることです。
船が沈んでいるときは、沈まないようにするのが先決なのであって、沈んでいく船の中で、座席を奪い合っていても仕方ないでしょう。

もし、国会議員が生活困窮者と同額の給付金を受け取るのが不満ならば、国会議員の歳費を減らすのではなく維持したまま、生活困窮者に国会議員より多くの給付金を渡せばいいのです。

では、どうして、そのように要求する人が少ないのでしょうか?
そして、どうして、日本政府は、そうしないのでしょうか?

次のページ「財政赤字を増やせない」という思い込み

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中野 剛志

なかの たけし

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)。  

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