糖尿病患者はがんの発症リスクが1.9倍に……「糖尿病」ってそもそもどんな病気? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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糖尿病患者はがんの発症リスクが1.9倍に……「糖尿病」ってそもそもどんな病気?

糖尿病専門医・牧田善二氏が、「糖尿病」の基本の「き」を解説!

 そして、あるとき「もうダメです」とインスリンをすみやかに出せなくなって、血中のブドウ糖をうまく取り込めなくなってしまう。これが、「血糖値が高い」という状態であり、生活習慣が原因の2型糖尿病の始まりである。
 もっとも、インスリンの出が悪くなろうとも、血糖値が上がろうとも、それだけではなにも感じない。だから、多くの患者さんが一向に危機感を持たないでいるのだ。
 一方、若年者に多い1型糖尿病は、ウイルス感染などが原因で、ある日突然ぱたっとインスリンが出なくなる。こちらは、生活習慣とは関係ない。すぐにでも、注射によるインスリン補充が必要となる。

◆「疑いあり」から逃げてはいけない

 あなたが健康診断を受けて、空腹時血糖値や、ここ一~二か月の血糖値を示すヘモグロビンA1c値が高めだったら、「精密検査を受けてください」と言われる。いまこの瞬間にも、世界中でそういう指摘を受けている人が大勢いる。
 しかし、なんら自覚症状はないから、多くが聞き流してしまう。
 もし「糖尿病の疑いあり」と言われたら、必ず糖尿病専門医のもとを訪れ、精密検査を受けてほしい。精密検査と言っても、なにも苦しいことはない。「ブドウ糖負荷試験」を受けるだけでいい。ブドウ糖負荷試験では、絶食して八時間以上経った状態で七五グラムのブドウ糖を溶かした液体を飲み、その後の血糖値の状態を測定する。
 そして、二時間経過したときの血糖値が二〇〇以上であれば糖尿病、一四〇以上であれば「境界型糖尿病」と診断される。
 では、一四〇未満ならいいかと言ったらそうでもない。「間違いなく正常」とは断言できないケースも多々ある。だからこそ、糖尿病専門医にかかってほしいのだ。
 多くの臨床経験を持つ専門医なら、微妙な数値の変化や、患者さん一人ひとりの体質などさまざまな角度から総合的に検証し診断することができる。だが、普通の内科医では、あくまで「基準値内ならOK」という診断しか下せない。
 また、境界型糖尿病に対する知識も少なく、「まだ前段階だから大丈夫でしょう」と吞気なことを言ったりする。しかし、ここでどう対処するかによってあなたの今後は大きく変わってくるのだ。

『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)より抜粋>

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糖尿病専門医。AGE牧田クリニック院長。1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事したあと、米国ロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病合併症の原因であるAGEの研究を約5年間行う。北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を歴任し、2003年に東京・銀座に「AGE牧田クリニック」を開設。これまでにのべ20万人の患者を診ている。著書に「糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい」(講談社+α新書)、「人間ドックの9割は間違い」(幻冬舎新書)など多数がある。



 


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  • 牧田 善二
  • 2016.05.10