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大石あきこ議員「くそ野郎」で一審に負けるも高裁で逆転勝利 司法が提示した「論評」の対象とは?

大石あきこ、山口敬之に完全勝利!控訴審 高裁判決後 記者会見 (2024年3月13日15:00〜) より引用

 

◾️該当ツイートだけで判断しなかった裁判所

 

 大石議員側からの説明が終わった後に行われた質疑応答では、やはり「くそ野郎」について疑問を呈する声も上がった。フリージャーナリストの田中龍作氏は「一審判決では「くそ野郎」が名誉毀損にあたったのに、どうして高裁では認められたのか?」改めて質問してきた。

 佃弁護士は先述した「何についてくそ野郎と言ったのかについて」を高裁がしっかりと判断した点だと回答。大石議員は「私見です」と述べた上で見解を語った。

 

「『1億円超のスラップ訴訟を伊藤さんに仕掛けた。とことんまで人を暴力で屈服させようという思い上がったくそ野郎』というツイートは、「思い上がった」までは許されても『くそ野郎』の4文字は駄目だっていう一審に対して、二審が当たり前といえば当たり前ですよねと判断してくれた。私はわかりやすく、悪いことをしたら反省しないとダメだと言う言論は、非常に大事だと思いますのでその言論の幅といいますか、合理性というものを、今回判決で認められたというのは非常に大きなことだと思います」

 

 このように高裁の判断を支持した。

  さらに例として伊藤詩織氏が自民党杉田水脈衆議院議員に対して起こした訴訟も似たような判断だと述べている。伊藤詩織氏は、杉田議員が自身を誹謗中傷するツイートに対して「いいね」を押したことで名誉を傷つけたとし、訴訟を起こしていた。裁判は伊藤氏側が勝訴している。この結果に杉田議員の支持者から、「いいね」をしただけで裁判に負けるのはおかしいという意見も出ていた。しかし伊藤氏の代理人でもあった佃弁護士は勝訴した理由を以下のように述べている。

 

「杉田議員がずっと伊藤さんを攻撃していたという一連の流れがあって、その中の一つがその(判決文の)終盤を構成するんですけど、終盤にその大量の悪口ツイートに対する大量のいいねという事柄がありました。

 その全体の流れの中で「いいね」を見ると、どう考えても杉田氏が伊藤さんに対して加害をしている。加害の目的を持って「いいね」をしているというふうに見えた事案だったということです」

 

 つまり、杉田議員が伊藤氏をTwitter以外でも誹謗中傷していた点を考慮したということである。彼女が伊藤氏へ悪意を持って攻撃していたのは明白な事実であり、証拠も多数残っている。司法は該当部分のみを見たわけではなかったということだろう。 

 それが今回の裁判でも判決の要素になったというわけだ。

次のページ原告である山口敬之氏は、判決について一言もコメントを発していない

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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