よそンちの食卓はつらいよ【新保信長】「食堂生まれ、外食育ち」41品目
【隔週連載】新保信長「食堂生まれ、外食育ち」41品目
……と、ここまで書いてふと気がついた。私がよそンちの食卓を苦手にする理由として「自分で料理を選べない」というのもたぶんある。何をどの順番で食べるかは自分で決めたいのだ。外食でも基本はアラカルトで、コース料理はあまり好まない。まあ、温泉宿なんかの懐石コースは楽しいが、あれは温泉というシチュエーション込みのイベントなので、ちょっと別枠という気がする。
あと、これを言うとめっちゃ怒られそうだが、正直、素人の料理よりプロの料理のほうがうまい。もちろん例外はあるにせよ、よその家でお呼ばれすると、大してうまくもないものを「おいしいですねー♡」とかほめなきゃいけないのもつらい。ホームパーティとか好きな人は、そのへんどうなのか。本当においしい料理が出てきて、心から「おいしいですねー♡」と言っているのか。
いや、私だって出されたものは基本的にありがたくいただくし、おいしいものにはわりと素直に「おいしい」と言いますよ。特に妻の料理には積極的に「おいしい」と言っていくスタイルを採用している。が、それは本当においしいときに言ってるので、社交辞令としての「おいしい」はあんまり言いたくないなーと思うのだった。
文:新保信長