よそンちの食卓はつらいよ【新保信長】「食堂生まれ、外食育ち」41品目 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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よそンちの食卓はつらいよ【新保信長】「食堂生まれ、外食育ち」41品目

【隔週連載】新保信長「食堂生まれ、外食育ち」41品目

 

 ……と、ここまで書いてふと気がついた。私がよそンちの食卓を苦手にする理由として「自分で料理を選べない」というのもたぶんある。何をどの順番で食べるかは自分で決めたいのだ。外食でも基本はアラカルトで、コース料理はあまり好まない。まあ、温泉宿なんかの懐石コースは楽しいが、あれは温泉というシチュエーション込みのイベントなので、ちょっと別枠という気がする。

 あと、これを言うとめっちゃ怒られそうだが、正直、素人の料理よりプロの料理のほうがうまい。もちろん例外はあるにせよ、よその家でお呼ばれすると、大してうまくもないものを「おいしいですねー♡」とかほめなきゃいけないのもつらい。ホームパーティとか好きな人は、そのへんどうなのか。本当においしい料理が出てきて、心から「おいしいですねー♡」と言っているのか。

 いや、私だって出されたものは基本的にありがたくいただくし、おいしいものにはわりと素直に「おいしい」と言いますよ。特に妻の料理には積極的に「おいしい」と言っていくスタイルを採用している。が、それは本当においしいときに言ってるので、社交辞令としての「おいしい」はあんまり言いたくないなーと思うのだった。

 

文:新保信長

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新保信長

しんぼ のぶなが

流しの編集者&ライター

1964年大阪生まれ。東京大学文学部心理学科卒。流しの編集者&ライター。単行本やムックの編集・執筆を手がける。「南信長」名義でマンガ解説も。著書に『国歌斉唱♪――「君が代」と世界の国歌はどう違う?』『虎バカ本の世界』『字が汚い!』『声が通らない!』ほか。南信長名義では『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』『1979年の奇跡』など。新刊『漫画家の自画像』(左右社)が絶賛発売中です!

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