どの席に座るか問題【新保信長】『食堂生まれ、外食育ち』35品目
【隔週連載】新保信長「食堂生まれ、外食育ち」35品目
けれど、そんな気が利く私(小心者ともいう)と違って、細かいことは気にしない人もいる。ちょうどランチタイムの時間帯に近所のチェーン店レストランのカウンターで食べていたら、20代半ばと思しき女子が一人で入ってきた。店員さんが「空いてるカウンター席へどうぞ」と声をかけるも、その女子は入口に一番近い4人掛けのテーブルに直行、まったくためらう素振りもなくドカッと腰を下ろしたのである。
店自体そんなに込んでもいなかったので特に問題はないのだが、カウンターもあれば2人掛けのテーブルもあるのに、4人掛けに迷わず座れる度胸がすごい。自分には到底無理である。しかも、注文したかと思ったらバタッと突っ伏して寝だしたのだ。思わず呆気にとられる豪傑ぶり。徹夜明けか何かでよっぽど眠くて、一番近い席にたどりつくのがやっとだったのか。
夜中のファミレスなら寝ちゃってる人も珍しくないかもしれないが、白昼堂々の爆睡はあまりないのでは?(知らんけど) あのまま寝てたら店員さんは起こすのだろうか。彼女の注文が運ばれてくる前に店を出てしまったので、その後どうなったのかはわからない。食べ終わったのに長居するのは申し訳なくて、結末を見届けずに退出してしまうところがまた、私の詰めの甘いところである。
文:新保信長