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「ワクチン接種率25%まで低下」 新型コロナ流行期第9波はどうなるのか?【谷龍哉】

写真:PIXTA

 

 2019年まで、私たちは体調を崩しているとき以外にマスクをつけることはあまりなかったと思います。人との距離をとるといっても、パーソナルスペース(不快に感じる空間や距離)に入り込まない程度で、人がたくさんいる場所を意識して避けるようなこともありませんでした。

 また、「黙食」と呼ばれる食事中に会話を控えるといったようなことは、仏教徒の人たち以外は、その概念すら知らなかった人も多いのではないでしょうか。

 この3年半を通して、様々な感染症対策が新しい生活様式として世間にひろまっていきましたが、今年の5月から新型コロナ感染症が5類へ移行したことで、これらの新しい生活様式の一部が2019年以前に戻りつつあります。

 しかし、新型コロナウイルスの危険性が消えた訳ではなく、日本が新型コロナウイルスと共生の道を歩みはじめたにすぎないということを忘れてはいけません。新型コロナウイルスが、ただの風邪になった訳ではないのです。

 今年6月ごろから、沖縄県で新型コロナウイルスのオミクロン株(XBB.1.16XBB)が急速に拡大しています

 全国的に見ると、関東、東海、近畿、中国地方を中心に10県で定点当たりの報告数が1を超えているため、沖縄県だけに限った話ではありません。(定点当たりの報告数とは、すべての定点医療機関からの報告数を定点数で割った値)

 2023年第19週(58日〜514日)の定点当たりの報告数が「2.63」(注1)と、この週から新型コロナの感染者が増加しはじめており、2023年第25週(619日〜625日)になると、定点当たりの報告数が「6.13」(注2)と、一ヵ月ほどで約2.3倍にまで増加していることが分かると思います。

 また、日本の新型コロナ流行期「第6波~第8波」で主流だったオミクロン株「BA.2BA.5」よりも、オミクロン株「XBB.1.16XBB」は、高い感染力や「BA.2BA.5」で獲得した抗体への抵抗性をもつといわれています。そのため新型コロナウイルスに感染したことがある人でも再感染する可能性があることに注意が必要であり、沖縄県の感染状況が全国へ広まっていくのは時間の問題だと感じています。(注3)

 

注)

1)新型コロナウイルス感染症サーベイランス速報・週報:発生動向の状況把握 2023630https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/12015-covid19-surveillance-report.html

2)新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~ 厚生労働省 ※第25週(619日〜625日)のデータをここからとっています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00438.html

3)オミクロン「XBB株」「XBB1.16株」の症状や重症度などについて解説 2023.06.26
https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/omicron-xbb/

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谷龍哉

たに りゅうや

谷 龍哉(たに・りゅうや)

1983年生まれ。三重県伊勢市出身。ネット情報アナリストとして、インターネット上の社会事象や問題発生の経緯の情報収集、分析に従事。

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