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「統一地方選」 維新と黒岩祐治の“性情”不安【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第37回


維新の快進撃と黒岩祐治の下品メール騒動で終わった統一地方選前半戦。哀しみを通り越して笑うしかない状況だが、これが現実である。日本をダメにしたのは誰なのか? 維新や黒岩の増長を許す社会の空気とはなにか? 近著『日本をダメにした新B層の研究』で、売国政治屋・マスコミをのさばらせた近代大衆社会の末路を鋭く分析した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」連載第37回。


大阪府知事・吉村洋文

 

■維新という絶望的に古い集団

 第20回統一地方選の前半戦となる9道府県知事選と6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が9日に投開票された。選挙戦では維新の吉村洋文が「昔の古い政治の時代に戻すのはまっぴらゴメン。大阪を強くしたい」と発言。嘘、デマ、プロパガンダを流し、大衆を誘導。古い政治、20世紀の悪夢を繰り返しているのが、維新の会であり、吉村洋文である。各地の街頭演説では、昔の大阪市は大赤字でそれを立て直したのが維新市政だったという趣旨の発言を繰り返したが、もちろんデマである。大阪市のホームページには2021年度一般会計決算について、《歳入から歳出を差引きした形式収支は、4093400万円の剰余となっており、そこから翌年度に繰り越すべき財源を差引いた実質収支は、3079600万円の黒字と、引き続き黒字基調を維持しており、平成元年度以降33年連続の黒字となりました》と明記されている。2015年の大阪「都構想」で使われた詐欺パネル(塾代助成などを恣意的に取り出して作成したもの)を焼き直したものもツイッターで拡散していた。

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 ナチスのヨーゼフ・ゲッペルスはこう言っている。「一般市民は、私たちが想像する以上に原始的である。したがって、プロパガンダは常に単純な繰り返しでなくてはならない。結局、諸問題を簡単な言葉に置き換え、識者の反対をものともせずに、その言葉を簡明な形で繰り返し繰り返し主張し続けることができる人だけが、世論に影響を与えるという最終的な結果を残せるのだ」。

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 維新の馬場伸幸は衆院憲法審査会の幹事会で、立憲民主党の小西洋之参院議員の「サル」発言に関し、衆院憲法審幹事会に小西氏を呼び、謝罪と説明を行わせるよう求めた。アホすぎ。自民の二軍か。

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 20208月、維新の東京1区支部長で衆院選の公認候補だった赤坂大輔が女子高生3人に向かって下半身を露出し、公然わいせつの疑いで現行犯逮捕された。その後除名。ちなみに赤坂には傷害事件で逮捕歴もあった。20227月には、中学生2人に「水着の写真なら3000円」「胸ワンタッチ1000円」などと卑猥な声をかけ千葉県迷惑防止条例違反の容疑で逮捕。同年11月の港区区議会で「(私は)熟女好きで知られていまして、若い子を対象とすることを好んでないということは、私の知り合いはみんな知っていることで、高校生の時分には、同じ高校生の彼女のお母さんを好きになって、そういうこともあった」と発言。維新に集まってくるのはこんな連中ばかり。

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 自民党もグダグダ。統一教会の関連団体「世界平和女性連合」が運営する職業訓練校への政府開発援助(ODA)資金の供与が、2014~15年当時外相だった岸田文雄の関与のもとで行われたことを共産党の穀田恵二議員が明らかにした。

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黒岩祐治

 

 山口問題もあるけど、神奈川問題ってのもあるよね。神奈川県知事選挙は、現職の黒岩祐治が4回目の当選を果たした。面白かったのは「週刊文春」の黒岩の過去の不倫報道。私は他人のスキャンダルには興味はないが、黒岩が愛人に送ったメールの内容は圧倒的に面白い。

A子の料理ってどんなかな?アワビにバナナをさしたやつとか、桃にキュウリをさしたやつとか・・・(とにかくなんでもさす!)そんなチョー下品なメニューしか想像できないよ~ん。まともな料理ができるんなら、一度、お試しコースを企画しなくちゃネ》

A子は日陰者じゃないけど、いつも「すごいエネルギーたまってる」し、「感じ」やすいよな~。エックス線でもあてたろか? なに~、セックス線だって!ばっかぁ~っ!また言っちゃった!なにまたイっちゃった!?

《北朝鮮! ミサイルでもぶっ飛ばしてくれねえかなあ~。雨にも負けず、遊びほうけている奴らに平和の意味を教えてやらんといかんなあ~。放送では絶対に言えないから、A子だけに本音を放出!ドッピュー!!ところでモロホンのドッピューは18日(月)でいかがカナ?》

《本番前のホンバン?バッカァ~!!生放送前のナマだよ~!!ニュルニュル~~~。ビチョォッ~~~~。ドキュ~~~~~~~ン!!》

 素晴らしいとしか言えない。頭から何か液体でも漏れているのだろうか?

    *

 2016年大統領選期間中の元ポルノ女優への口止め料支払い指示を巡り、トランプがニューヨーク州の大陪審に起訴された。アメリカでは大きなニュースになっているが、黒岩の破壊力には負けている。ニュルニュル~~~。

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

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第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

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第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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