「行きスギタ」発言の数々。自民党は水脈(みお)切る改革を【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「行きスギタ」発言の数々。自民党は水脈(みお)切る改革を【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第29回


安倍暗殺から浮上した統一教会問題は根が深すぎて未だ収まる気配はない。大臣のドミノ辞任が続く中、岸田文雄が「適材適所」と称し、守り抜こうとした議員がいる。それが杉田水脈だ。「私自身の任命責任を重く受け止めている」と言いながら責任を取ろうとしない総理大臣が居座り続ける日本の前途は暗い。最新刊『日本をダメにした B層の研究を刊行し売国政治屋をのさばらせた近代大衆社会の末路を鋭く分析した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」連載第29回。


防衛費増額の財源に充てるための増税をめぐり、岸田文雄が「今を生きる国民の責任」と発言したとする自民党の説明に対し、反発が広がった。その後、実際の発言が「今を生きるわれわれの責任」だったと修正。相変わらず小賢しく、さもしい。

 

■北朝鮮のミサイルの資金源

 

 2022年の世相を1字で表す「今年の漢字」が「戦」に決まり、日本漢字能力検定協会は京都の清水寺で発表した。ロシアによるウクライナ侵攻やサッカーのワールドカップの熱戦などが理由に挙げられたとのこと。政権への忖度なのかよくわからないが、普通に考えれば「壺」だろう。

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 統一教会問題をめぐっては被害者救済法が成立したが、自民党との癒着という根本問題については何一つ解決していない。岸田文雄は統一教会との関係について「国民の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら、信頼回復のために、各般の取り組みを進める」と発言したが、やっていることは隠蔽工作と論点ずらし。国会議員の「自主点検」もザルもいいところ。関係を報告しなかったケースが相次ぎ、最も深い関係にある安倍晋三は調査対象から除外されていた。

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 共同通信社は全国の都道府県議、知事、政令指定都市市長を対象に、統一教会との関係についてのアンケートを実施。教団や関連団体などと接点があったとした都道府県議は少なくとも334人、うち自民党が8割を超えたとのこと。知事は13人、市長は9人だった。なお、議員回答率が最も低かったのは安倍のお膝元である山口県だった。沈黙はあまりにも雄弁。

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 統一教会が4500億円を北朝鮮に送金していたことを米国防総省(ペンタゴン)情報局(DIA)が掴んでいたと「文藝春秋」が報道。記事では文鮮明と金日成の関係や資金の流れを解説。統一教会が北朝鮮で展開していた自動車メーカー「平和自動車」の元最高責任者は「日本から北朝鮮に直接送金したら、大変なことになります。日朝の外交関係は緊迫しているので。まず韓国に送金し、韓国でマネーロンダリングをした後に香港に送る。さらに香港から平壌に送金される。これが基本的な流れです」と説明。韓国国防省の元次官は「もし統一教会から資金が渡っていたなら、北朝鮮が核やICBMの開発に資金を流用した可能性は非常に高いです」と語っている。統一教会の霊感商法で日本人から奪われたカネが、北朝鮮のミサイル資金になっていたという話。

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 自民党の衆院議員薗浦健太郎の事務所が政治資金パーティーの収入を計4千万円ほど少なく記載していた疑いがある問題で、政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで東京地検特捜部は近く薗浦を任意で事情聴取する方針とのこと。薗浦は過少記載について秘書から事前に報告を受けたり、秘書に指示したりしたことは「ない」と関与を否定していたが、地検の捜査開始後、政治団体の会計責任者を務めていた公設第1秘書に、通帳に記載された収支のメモ書きを消去するよう求めた疑いがあるという。秘書はその際のやり取りを録音し特捜部に提出。GJ。秘書も責任を押し付けられたらたまったものではないものね。

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 首相補佐官の岸信夫(衆院山口2区)は後援会幹部の会合で自身の健康状態を理由に次期衆院選に立候補せず、「このあたりで(秘書で長男の)信千世に譲りたい」と述べたという。

 「譲りたい」?

 岸は統一教会問題についても「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」などと開き直っていたが、どうしようもない勘違い野郎ですね。

次のページ「事実として確認」できないことを新聞社のサイトに載せる人間

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

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第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

 ✳︎

第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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