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夏草やアベウヨどもが夢の跡【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第28回


安倍晋三元首相を祭り上げ、虎の威を借る狐のごとく悪事を働いてきた“アベ友”連中が、ついに司法の手にかかりはじめた。一方、安倍を銃撃した山上徹也容疑者の鑑定留置延長に関し、いまだに歪曲報道も流されている。安倍の正体が明らかになるにつれ、取り乱し、支離滅裂になっていく信者たちの様子は、あさましいというしかない。最新刊『日本をダメにした B層の研究を刊行し、売国政治屋をのさばらせた近代大衆社会の末路を鋭く分析した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」連載第28回。


山上徹也容疑者

 

■死人を利用し続ける自民党

 

 寺田稔前総務相の関係する政治団体「寺田稔竹原後援会」が会計責任者として故人を政治資金収支報告書に記載していた問題で、東京地検が捜査に乗り出すことになったらしい。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、寺田ら関係者を任意聴取し、起訴か不起訴を判断するとみられる。なお、現在永田町では「安倍晋三記念紙幣」発行を求める文書が出回っているらしい。アホにも限度がある。死人を利用し続けるのも自民党の平常運転。

    *

 安倍周辺の悪党、寄生していた乞食言論人の類が、いよいよ追い詰められてきた。森友学園の決裁文書改ざん問題を苦に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんを巡る記事で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之議員、杉尾秀哉議員が産経新聞社と作家・ジャーナリストを名乗る門田隆将に計880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は計220万円の支払いを命じた。

    *

 野党に対する数多くの誹謗中傷ツイートを投稿し、拡散させてきた匿名のツイッターアカウント「Dappi」の発信元であるウェブ関連会社「ワンズクエスト」に対しても小西、杉尾両議員は計880万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴。「赤旗」が東京都選挙管理委員会が公表した2021年分の政治資金収支報告書を調べたところ、自民党都連は「テープ起こし」などの名目で「ワンズクエスト」に対して計5件、計404万円余の支出をしていた。

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 ジャーナリストの伊藤詩織に対する誹謗中傷で、ネトウヨ漫画家みたいなのにも賠償命令が出ていた。ヘイト番組の『真相深入り!虎ノ門ニュース』も終了。ああいうものが野放しになっていたのだから変な時代でしたね。ここで一句。夏草やアベウヨどもが夢の跡。

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 某所で「バイデンはどうですか?」と聞かれたので「デンデンよりはマシ」と答えておいた。

    *

 安倍がわが国に残した傷跡は深い。統一教会の広告塔だった安倍は、悪徳マルチ商法「ジャパンライフ」の広告塔でもあった。11月18日、顧客からおよそ1億6000万円をだまし取った罪に問われたジャパンライフ元会長の山口隆祥に対し、東京高裁は一審と同じく懲役8年の判決を言い渡した。山口と安倍家の関係は深い。安倍主催の「桜を見る会」には統一教会関係者、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらに招待状が送られていたが、山口にも総理枠の「60」番で招待状が送られている。ジャパンライフはこの招待状や安倍の写真をチラシにして勧誘を行っていた。

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 安倍を銃撃した山上徹也容疑者の刑事責任能力を調べる鑑定留置について、奈良地方検察庁は、2か月あまり延長すると発表(11月17日)。日テレNEWSの記事には《これまでの警察の調べで山上容疑者は、母親が多額の献金をしていた「旧統一教会」に恨みを募らせ、安倍元首相が団体と親しい関係にあると思いこみ、犯行に及んだとみられています》とあるが、歪曲報道ではないか。同様の記事は多いが、安倍と統一教会の深い関係は、山上の思いこみではなく、膨大な証拠に基づいた事実である。山上が妄想に支配されていたというストーリーにもっていくのは無理がある。なお、奈良地検は、延長の理由を明らかにしていない。

次のページ法相に就任した齋藤健のツイッター

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『日本をダメにした 新B層の研究』

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

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第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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オススメ記事

適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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