アニメ「かげきしょうじょ‼」が描いた理想と、ミイヒらが示す現実。『痩せ姫』刊行5周年に思うこと【宝泉薫】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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アニメ「かげきしょうじょ‼」が描いた理想と、ミイヒらが示す現実。『痩せ姫』刊行5周年に思うこと【宝泉薫】

エフ=宝泉薫氏が著した書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の刊行から5周年。摂食障害を生きる女性たちにとって、「瘦せ姫」という言葉が救いにもなっている。

 

 「かげきしょうじょ」(BS11ほか)というアニメがある。原作は斉木久美子による同名の少女マンガ。宝塚音楽学校を思わせる紅華歌劇音楽学校で葛藤する少女たちの葛藤を描くものだ。

 第五幕(5話)のメインヒロインは、平凡で地味だが歌に秘めた才能を持つ山田彩子だった。ダンス担当の女性教師に「お前、太ってんぞ」「デブは要らない」とダメ出しされたことから、ダイエットを始めた彼女は、自発嘔吐(指吐き)を覚え、5キロ痩せることに成功。しかし、体力が落ち、周囲からも異変を気づかれるようになる。

 そんななか、主人公のひとりでもある奈良田愛から忠告を受ける。愛は国民的アイドルグループ・JPX48を辞めて入学した生徒だ。

「ここ、そろそろ痛いんじゃない? それ、筋肉痛じゃないから。JPXにもそういう子がいたの。胃液が逆流して、食道を灼くから痛いの。食道って体の後ろ側についてるの。背中側に。そんなふうに痩せても綺麗にならない」

 やがて、彩子は咽頭炎を患い、声が出なくなってしまう。学業成績も振るわないことから、退学して実家に帰ることまで考えるが、そこに音楽担当のおネエ系教師が登場。

「成績はビリになったかもしれないけど、あなたの下には100期生になれなかった1095人もの女の子たちがいるのよ。(略)それにあなた、大切なことを忘れてる。何もない子が紅華に入れっこないのよ」

 などと説得した。おかげで気持ちを切り替えられた彩は、歌の実力を発揮できるようになり、迷走から抜け出すというのが、おおよその内容だ。

 この作品は少女たちのキャラクター設定が絶妙で、夢と現実とが説得力を持って描かれる。彩子をめぐるエピソードも、女の子集団で発生しやすい問題を上手く取り込んだものだ。

 ただ、そこにはフィクションならではの理想的空気も感じられた。いわゆる「激痩せ」問題はそんなに簡単ではないのでは、という感想もネットでは見受けられ、ファンタジーならではの展開にも思えたのである。

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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瘦せ姫 生きづらさの果てに
  • エフ=宝泉薫
  • 2016.09.10