2020年を迎え、二度目の東京オリンピック開催が間近に迫り、日本は新しいフェーズに入っていくのではないか――

 だからこそ、時代を振り返り、過去から“学び”を見つける必要もあるのではないか

 平成の世で、日本を震撼させた宗教団体として思い起こされるのがオウム真理教。彼らはときに暴走し、幾多の事件を起こしていったことを覚えている人も多いだろう。
 そのオウム真理教の死刑囚たちの素顔を描いた『幻想の√5』の著者・中谷友香氏と旧知の仲であり、80年代からミュージックシーン、サブカルシーンで活躍するサエキけんぞう氏、社会学者の宮台真司氏が新年、オウム真理教の深層に迫るトークイベントを開催。

 イベントを目前にして、事件を振り返りながら、得なければならない教訓を、彼らの行動に興味を抱き、追いづつけてきたサエキけんぞう氏に少しだけ聞いた。

■今でも新しいものが出てくる可能性がある

――オウム事件を経て、現代に通じるもの“教訓”のようなものは残りましたか?

サエキけんぞう 「90年代にああいう形で新しくオウムのようなものが出てきたのだったら、20年も経った今、まったく予想もしない形で新しいものが出てくる可能性がある。オウム真理教の場合は、殺人をしたから問題になって明るみになった、しかし、殺さなくても同じように人間をダメにしていくことは起こりうるわけですからね。そういう人たちがいないとは限らない」

 

――今度、オウムについて語るイベント(『「幻想の√5」今こそオウムのリアルを語る~「心の深層」に分け入る~」)を開催することになりましたが、どのようなことを伝えていたきたいですか?

サエキけんぞう 「今回のイベントでご一緒する中谷友香さん(『幻想の√5: なぜ私はオウム受刑者の身元引受人になったのか』著者)の功績を称えるならば、通り一遍の“法律”などで、出来事を語るってことはできないなかで、自分で実際に人に会い、話したことで、初めて分かる部分をこの本の中で引き出している部分があるのではないか、と考えています。なので、ナマで体験した、触れた人の感想というのを伝えられる機会になるのではないかなと思っていますし、ボク自身も訊いてみたい」

 

――この本の中から読み取れるオウム真理教の特種性ってどこにあると思いますか?

サエキけんぞう 「中谷さんの本のなかでも触れていますが、オウムの信者たちはムチャな修行をしながら、短時間で何かを得ようとしている。その修行のなかで人が死んだりしながら。でも、そういう勉強って時間がかかるじゃないですか。いとも簡単にインスタントに得られるものではない。カップラーメンみたいにね。重々しさがなく、逆に軽々しさが目新しかったし、親近感があったという部分がありますね。“悟り”という言葉に呑まれちゃいかんですよね。そういったことを体験した人から実際に訊き出しているし、重厚感とリアリティがありますね、この本の記述には。イベント当日には、もっと掘り下げていければと思っています」