就活戦線異状あり!【まだ間に合う「隠れホワイト企業 TOP50」ランキング】2021年最新版「就活」が物語る「内定格差」の現実! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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就活戦線異状あり!【まだ間に合う「隠れホワイト企業 TOP50」ランキング】2021年最新版「就活」が物語る「内定格差」の現実!


 新型コロナウイルスの感染拡大による経済の痛みが「就職戦線」に大きく影響。将来を担う大学生にとって非常に厳しい情況となった———。
 今春卒業した大学生の就職率が96.0%(本年4月1日現在、文部科学省と厚生労働省より)で、過去最高だった前年(98.0%)を2ポイント下回ったと発表(5月18日)。2010年卒のリーマン・ショック後以来、過去2番目の大きな下げ幅となっている。  
 大手一流企業の採用が終わろうとしている現在、悲喜こもごもの就活生もいるだろうが、6月から解禁される本選考への指針を示していこう。本年度、2022年卒の大学生の就活状況は、これからいったいどうなっていくのだろうか。


■競争率2000倍!就活がこの30年で大きく変わった

コロナ禍が影響した昨年とは変わり、大手一流ホワイト企業の採用がおおむね終わり、6月から中堅企業の本選考がはじまる。

 

 『一個人』編集部では「就活」について特に、高校生以上のお子さんを持つ親御さんに対して人生におけるライフキャリア(生き方)を充実したプラン遂行を行ううえで、「ファーストキャリア」となる就活において「一流ホワイト企業」へ入社するメリットについて議論してきた。
 また、お子さんの就活が、30年前以上も前の親御さんの時代と明らかに「難易度」で変わっていることを示唆してきた。
 改めておさらいをすると同時に今回は、就活における内定格差の現状、大学教育の本質的な部分にまで議論を深めていきたい。

 さっそくおさらいから入ろう。なぜ、いま、就活が厳しいのか。それは、具体的には、まず、採用における競争自由化である。従来の学歴による選別から、原則、誰でもエントリーできるようになり競争が激化した。大手の一流ホワイト企業の中には倍率が2000を超える企業さえ存在している。

 

 さらに採用する企業側の求める人材レベルが上昇している状況。人材育成、研修(OJT:オン・ジョブ・トレーニング)の余裕がなくなり、いち早く即戦力としての活躍が期待される優秀な学生には、いち早く「内定」を出すようになってきているのである。例えば、大手の一流ホワイト企業では、早くからインターン生を募り、大学3年の秋には「内定」を出すところもあるという。つまり、卒業年次となる4年生からの就活の準備では現況、自分の望む企業への内定獲得が困難を極めているのである。

 大学4年間で学び得た教養と見聞を広め、人格の陶冶を果たし社会人として巣立つべきだと願う高等教育の理念とは裏腹に、その社会への「入口」となる就活は明らかに矛盾した現実をつきつける。

■2022年卒の就活状況———内定格差の現実

就活塾「ホワイトアカデミー」を主宰する竹内健登代表。

 

 今回は、大学教育の理念と矛盾するキャリア形成の現実———すなわち、就活における大学生のあり方について就活塾「ホワイトアカデミー」を主宰する竹内健登氏と議論を進める。竹内氏は東大の学歴があるにも関わらず、大学4年次にことごとく大手一流企業から「お祈りメール(不採用)」をもらった苦い経験もある。

 まず、現在大学4年生(22年卒)の就活内定状況はどうなっているのか竹内氏にうかがった。

4月の時点で内定率はおよそ30%前後だったものが、51日では50%強と、コロナ禍以前の水準(20年卒なみ)で上がってきています。内定が出るピークは4~6月ですので、現在が就職活動の山場です。もちろん10月までには9割前後の学生に内定が出るとは思います。しかし、6月以降の内定率の伸びは昨年よりも悪くなると思われます」(竹内氏)

 竹内氏によれば、本年度は業界業種によるも、大手企業がコロナ禍の影響を受け、業績の悪化にともない、採用枠の削減がなされたという。

「従来は4月以降に大手企業が2次募集を行うのですが、今年は例年に比べて募集枠がそこまでありません。業績の悪化も採用枠の減少に影響しているのではないでしょうか。もちろん、複数の内定取得した学生の辞退が今後は想定されますので、71日くらいまでは大手企業に内定するチャンスがあるといってもいいかもしれません。いずれにせよ就活で内定を取れる学生とそうでない学生との格差が例年より出やすい状況です。ここからが正念場なのですが、内定が取れない多くの学生の一部は、自分を責めすぎてともすれば、就活うつなどを患うこともあります。
 本質的な問題は、就活というキャリア形成の入口で多くの学生が何をすればいいのかという問題に対して、大学ではその解決策を教えてくれないことにあるのかもしれません」(竹内氏)
 
 内定格差。とくにコロナ禍をきっかけに、就活はより二極化に拍車がかかったことは本年度もデータ的に否めない。そして大学生の個々の能力の差異はあることを踏まえた上で、ここで大きな疑問を私たち編集部は抱いた。
 大学という教育機関がその出口で、学生たちの社会人としてのキャリア形成の道を約束できないのであれば、青年の半分以上が大学進学する現在、その高等教育としての大学は学生のためになっているのだろうか、と。

「その疑問に対する私の回答はノーです。つまり、学生のためになっていません。現在の大学教育(正課教育)は、学生が向き合うべく職業(キャリア教育)について考えさせる場になっていないからです。誤解なきように申し上げますが、私自身研究機関としての大学を批判するつもりもありません。むしろ、そうした批判の議論はこの30年間、何度もなされてきました。
 1991年の『大学設置基準の大綱化(文科省)』を境に、むしろ大学は本来、社会の多様性を包摂しながら学生の個性を生かす道を模索してきたとも言えます。しかし、うまくいきませんでした。キャリア意識の形成につながらなかったという大学運営の戦略性の失敗に向き合うべきだったのです」(竹内氏)

■91年からの大学改革と「失われた30年」

  大学設置基準の大綱化とは一言で言えば、グローバル化(とIT化)の波に押し出された社会の多様性とそれに応じた高等教育のあり方を問い直す試みで、具体的には従来の学部教育の緩和措置(自由化)である。これ以降、一般教養科目より専門科目偏重となり、情報・環境・国際・地域・総合・政策にはじまり、横文字のキラキラ(ネーム)の学部、例えば「グローバルメディアスタディーズ学部」、「モチベーション行動科学部」などが増えたことは記憶に新しいのではないだろうか。

 竹内氏はこの30年の、大学キャリア教育を3つのステージに分け振り返り以下、総括している。

  ① 大学教育改革の始動(1991〜2008)
  ② 学士力の定義とそれを養成する教育(2008~2013)
  ③ 高校大学接続を含めた教育(2014〜)

「繰り返しますが、問題意識としては、社会の多様性に最適化するために試みた①の改革が、②期に、学生のためにうまく伝えられなかったこと自体が、キャリア教育として失敗だったわけです。③期にある、この大学教育改革の前提にかなうだけの学生が大学入学前に育っていなかった。自分の将来について自分に適した職業・キャリアと向き合いながら考え、自分の社会人として生きる動機を、しっかり自分の言葉として発信できるような場所が大学にはなかったとも言えると思うのです。現在の就活における内定格差の問題は、そうした時代的文脈のなかで理解する必要があります」(竹内氏)

 竹内氏自身も大学教育の失敗を身をもって体験した世代の一人として就活に失敗し、自戒を込めて就活塾に来る学生に対し、キャリア育成のために必要な講義を行っている。しかし、就活をうまく乗り切れていない学生には共通の問題があるという。一言でいえば、「自分が将来どのような人生を送りたいのか、その人生のなかで職業をどう位置づけるかに対するビジョンがないこと」だと竹内氏は続ける。

大学までは、学生は教育というサービスの受け手ですが、社会人として働くことは、自分の働きによって顧客にサービスを提供する担い手に変わるわけです(学校から社会へのトランジション:移行期)。では、自分がどんな能力を発揮すれば世の中に受け入れられるのかや、自分が何をしたいのかという目的から職業を考え、就活を行っている学生が大半か、と言われれば、そんなことは全くありません。こうした職業理念を明確化して自分の大学生活を送ることができれば、就活でどんな大手企業を受けたとしても自分の言葉で語れるので太刀打ちできますし、そもそも就活までの段階においても企業に受け入れられる能力を身につけられるはずなのですが、いまの大学教育では、残念ながらそれは無理だと思います。
 あくまでも学生は受動的なお客様であり、職業的サービスの担い手になるための積極的な学び、すなわちアクティブ・ラーニングがないからです」(竹内氏)

  ここにそのことを裏付ける面白い報告がある。
  京都大学教授の溝上真一氏たちが2007年より10年間実施した「大学生のキャリア意識調査」調査結果をまとめた『大学生白書2018』(東信堂)である。データは割愛するが、結論から言えば、文科省が進めてきた大学教育改革の「成果が残念ながら上がっていないといわざる得ないものである。全体的に、学生の学びと成長、新しい社会や時代に立ち向かう学生の自律性や社会性は弱いままであり、落ちてきて見えるというのが、本書が示す結論である」(前掲書)という結果報告だ。

 竹内氏もこの結論と同様に危機意識をもっており、そのため氏はホワイトアカデミー高等部を設立して高校生からキャリア教育を行なっている。
 では、いま、就活の渦中にいる現役の大学4年生、および、親御さんはこの危機をどう乗り越えればよいだろうか?

次のページいまからでも挑戦できる「隠れホワイト企業TOP50」

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竹内健登(たけうち・けんと)

東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はホワイト企業内定率100%を誇り、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度が好評。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である就活に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。
YouTube:就活塾 ホワイトアカデミー

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  • 竹内 健登
  • 2019.12.12