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「不倫」を見世物にするマスコミへ、井上ひさし氏の元妻が告ぐ。

元祖「不倫」からの教訓

井上ひさし氏の元妻であり、評論家の西舘好子さんが、自身の経験からマスコミの「不倫」報道への違和感を語る。娘・井上麻矢さんとの共著『女にとって夫とはなんだろうか』から、抜粋する。

■元祖「不倫」からの教訓

1969年頃、『日本人のへそ』のリハーサルにて。芝居は元夫・井上ひさし(写真手前)の生理に一番合っていた感じがする。写真中央は寄り添う著者。

 夫婦であっても、頭の中までは支配できない。他人の干渉などが入る余地はないはずだ。当事者であってもどうにもならないことなのだ。私も離婚ではマスコミに散々騒がれたが、後で考えれば離婚などたいしたことではない、長い人生のひとコマにすぎないと思うようになった。

 メディアがどんなに騒ぎ立ててもそれは俎上(そじょう)に載せられる方も見る方にも本当はむなしい時間なのだ。賤しさ、貧しさ、狡さのコメントを聞くたびに、なんとしても不幸をつくりたい、不幸でなくては困るという言葉の毒を感じる。罪悪論で、判定を面白おかしく下すなど、品性下劣と、浅ましさを感じていた。

 人を好きになることは人間誰しにも起こりえる。「不倫」が騒がれ、私もその俎上にさまざまな形で載せられたが、真実は当事者しかわからない。うかつに載れば裸どころか骨までしゃぶりつくされる。報道に関してはいまでも信じられないことばかりだ。

 次の事件までのつなぎとわかったら「見ざる、聞かざる、言わざる」を貫いた方がいいとターゲットになった人に言ってあげたい。誰が裁かなければならないのか、人間のゲスな部分を増大させるだけの作業はワイドショーはしない方がいい。

 

「皆様にご心配ご迷惑をかけました」

 判で押したような会見を皆本気でやっているのだろうか。誰も心配などしていないし、ご迷惑をかけたとすれば子どもや家族以外、どんな人に心配と迷惑がかかったのか教えてほしい。不特定多数の人に向かって「申し訳ありません」はないだろうに。

 結局、人を好きになってはいけないという建前に乗って「罪人」をつくるという仕組みがマスコミの見世物ショーとして存在しているのに乗せられ踊らされるのは滑稽だ。

「深々頭を下げてのお詫び会見」というのに乗ってはいけないのだ。

 もっとも次々に離婚や不倫はつづくから、次が出てくるまでのつなぎと割り切ってしまえればいいのだろうが。

『女にとって夫とはなんだろうか』より構成〉

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西舘 好子

にしだて よしこ

1940年、東京・浅草生まれ。NPO法人「日本子守唄協会」理事長。大妻高等学校卒業後、 電通勤務。61年、井上ひさし氏と結婚。三女をもうける。82年、劇団「こまつ座」を結成、プロデューサーとして劇団を運営。85年、第二十回紀伊國屋演劇賞団体賞受賞(こまつ座)。86年、井上ひさし氏と離婚。89年、劇団「みなと座」を立ち上げる。95年、第三回スポニチ文化芸術大賞受賞。30年にも及ぶ数多くの演劇の主宰・プロデュースを経て、幼児虐待、DV(家庭内暴力)など、子どもと女性問題への社会活動に取り組む。2000 年、日本子守唄協会設立。現在は女性史の一つともいえる子守唄に取り組んでいる。著書に『表裏井上ひさし協奏曲』(牧野出版)、『こころに沁みる日本のうた』(浄土宗出版)、『家族戦争  うちよりひどい家はない!?』(幻冬舎)など多数。井上麻矢の母。


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  • 2018.05.26