【宇野常寛 デビュー作から10年経って今、思うこと。】 | BEST T!MESコラム

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宇野常寛 デビュー作から10年経って今、思うこと。

宇野常寛さん3月毎日更新 Q29. 「デビュー作『ゼロ年代の想像力』から10年、今振り返ると?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

僕は「サブカルチャーの時代」の最後の継承者

 

 一番変わったなと思うのは、社会におけるサブカルチャーの位置づけですよね。僕のデビュー作でもある「ゼロ年代の想像力」の帯を書いてくださったのが宮台真司さんでした。宮台さんって90年代の若手論壇のスターで、彼はサブカルチャー批評を柱のひとつにしていた。あの頃までって、若者向けのサブカルチャーを語れる人間が「社会の本質を一番理解できている」という空気があった時代だったんですよ。

 でも今はそういった空気が全くなくて、どちらかと言うとテクノロジーやそれを背景にした新しいビジネス・経済・情報を語ることができる人間が社会の本質を一番分かっている時代になっていると思います。そして、それを象徴する人物が「落合陽一」ですよね。

 

 僕は宮台さんに帯を書いてもらった本でデビューした一方で、落合陽一には本を出版すべきだと言って、デビューさせた人間なんです。彼の『魔法の世紀』という本は、もともとPLANETSのメルマガで連載していたものですからね。要するに宮台さんと落合くんのちょうど中間に僕がいる。そのことはすごく象徴的だなと思うんですよ。

 僕は70年代から90年代までのサブカルチャーの時代の最後の継承者なんだと思います。「母性のディストピア」も半分が情報社会論になっているのも、そういう理由なんですね。「最後の継承者」と言いましたが、サブカルチャーもサブカルチャー批評もこの先も続いていくでしょう。なので、「もう僕の自分のようにサブカルチャーを語る人間が現れない」というよりは、社会の接続のされ方が、「僕まで」と「僕以降」では違うようになるのではないかと思っています。僕は世代的に、サブカルチャーを語ることが最も効果的に社会を語ることだった時代の最後の一人という意味ですね。

〈明日の質問は…… Q30.「今、サブカルチャーというジャンルの中で宇野さんが「面白い!」と思うのは何ですか?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。

そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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母性のディストピア
  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26